社保研レポート 施設の安全守るために「ヒエラルキーコントロール」の活用を  PDF

第668回社会保険研究会
講師:宇治徳洲会病院   呼吸器内科 医長 千原 佑介 氏
   京都民医連中央病院 感染症科  科長 山田  豊 氏

 協会は、第668回社会保険研究会を12月5日に開催。ウェブ併用のハイブリッドで開催した。参加者は40人(会場9人・ウェブ31人)。宇治徳洲会病院呼吸器内科医長の千原佑介氏が「COVID―19のこれまでと今冬への対策」をテーマに、京都民医連中央病院感染症科科長の山田豊氏が「新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行に備えて―ヒエラルキーコントロールの視点から―」をテーマに講演した。
 千原氏は、インフルエンザ・風邪・アレルギーとの症状比較を踏まえ、息切れは他であまり見られないが、その他の症状は鑑別が難しく、臨床症状からの鑑別は困難だと述べた。また、味覚・嗅覚の障害がヨーロッパでは多く報告されているが、アジアでは報告が少なく、風邪でも起こり得るため決め手とはできないとした。また、検査をする時期によっては感度が低く、現場では複数回検査を実施してから陽性となる例もしばしば経験されることから、「陰性確認をしたことで感染を否定できるわけではない」と述べ、症状によっては再検査やCTの実施も検討すべきだとした。
 山田氏は、「それぞれの施設において安全な診療をいかに継続するか」の観点で、化学療法の領域などで用いられる「ヒエラルキーコントロール」の考え方を参考に、感染管理では①患者を発生させない②患者を受診させない③受診や動線のコントロール④コントロールの手順順守⑤適切な防護服の使用―に置き換えられるとした。①では、1人でも多くの受療圏の方にインフルエンザワクチンを受けていただき、感染リスクを減らしてもらうことが大事と強調。三密を避ける等の基本的な取り組みも重要とした。②では、感冒様症状がある場合は、基礎疾患のある方を除き、偽陰性の発生しやすい早期の受診を控え、医療機関に電話相談してもらえるよう、地域住民や患者に説明を行うことは12月の今からでもできると述べた。③では、患者全員のサージカルマスク着用や、空間分離・時間分離、連携医療機関と輪番制で発熱患者に対応するなどを例に挙げた。
 講演終了後は活発な質疑応答が行われた。当日の模様は協会ホームページ内「臨床・保険診療TV」(保険医専用TV)にて動画配信しているので、是非ご覧いただきたい。
 ※ログイン方法は本紙1面下部欄外参照

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