協会は12月19日、(一社)京都府理学療法士会、(一社)京都府作業療法士会、(一社)京府言語聴覚士会(以下、三士会)との懇談会を開催し、2020年診療報酬改定の状況および課題、2021年介護報酬改定に向けた議論の状況と対応を中心に意見交換した。
20年診療報酬改定の状況および課題については、事務局から改定内容の概要と問題点について説明して、現場の状況を聞いた。改定内容自体は大きなものではなかったこともあって、改定に伴って生じた課題に取り立てて差し迫ったようなものはなかった。ただ、従来実施していた説明会が開催できず内容が周知しきれていないこともあり、問題点が認識されていない可能性も考えられた。
一方で、要介護被保険者の維持期リハビリについては、介護保険への移行にあたって、移行を見据えた指導・訓練の視点、移行後のサービス量・質、ケアマネジメントの不調など、引き続き取り組むべき課題は多いとして、改善に向けて取り組んでいくことを確認した。
21年介護報酬改定に向けた議論の状況と対応については、介護給付費分科会が審議報告を取りまとめるなど、具体的な改定内容が明らかとなっており、要点をまとめて紹介し意見を聞いた。
訪問看護ステーションからの理学療法士等による訪問をさらに制限しようとしていることについては、「リハビリのニーズは高齢者に限らない。また理学・作業・言語それぞれのニーズがあり、三職種を揃えるとおのずと割合も高くなる。コロナの影響で通所リハビリより訪問リハビリのニーズが高まっている面もある」と在宅におけるリハビリニーズの高まりを考慮せず、いたずらに訪問看護ステーションにおける理学療法士等の割合の高まりだけを問題視している状況に疑問が呈された。
訪問リハビリを行う事業所の医師が診察を行わない場合の減算の拡大については、「すでに現状の減算規定導入により訪問リハビリから撤退した事業所もかなりある。これ以上の減算幅の拡大はサービス縮小にさらに拍車をかけるだろう。特に病院では外来と入院で手一杯で医師が訪問に出られない状況もある」と、事業所の医師が診療できないことについて、単に報酬の減算で対応することでは問題の解決にならない実態が報告された。
その他にも、リハビリテーションマネジメント加算の基本報酬への包括化など、改定内容の課題は多く、協会と三士会の連名で21年リハビリ介護報酬改定に対する要望書を取りまとめることを確認し、1月26日付で厚労大臣宛に提出した。要望項目は以下の通りとなる。
・理学療法士等による訪問看護について「評価や提供回数等の見直しを行う」とされていることについては実施しないこと。
・訪問リハビリでの「事業所医師が診療しない場合の減算(診療未実施減算)の強化」については実施しないこと。
・通所リハビリ・訪問リハビリでのリハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)の基本報酬への算定要件化にあたっては、少なくともこれまでの単位数をそのまま基本報酬に上乗せして実質的に報酬が引き下がらないようにすること。また、これまで加算(Ⅰ)を算定していない事業所が円滑に対応できるよう、未算定事業所に対する経過措置を設けること。