厚生労働省は2020年12月25日、「押印を求める手続の見直し等のための厚生労働省関係省令の一部を改正する省令」(厚生労働省令第二百八号)を発出した。本省令は、同年7月17日に閣議決定された「規制改革実施計画」における「押印・書面規制の緩和(いわゆる、脱はんこ)」の一環として、厚生労働省関係省令に定められた様式や、医政局所管の手続で既存の通達等において定めている様式のうち、国民や事業者等に押印を求めているものについて押印欄を削除等することを目的としたもの。
本省令の中で、医師法施行規則第20条に規定される「医師は、その交付する死亡診断書または死体検案書に、次に掲げる事項を記載し、記名押印または署名しなければならない」が「医師は、その交付する死亡診断書または死体検案書に、次に掲げる事項を記載し、署名しなければならない」と変更されていたため、京都府内の一部自治体が、医療機関へ「署名」によらない「記名押印」による死亡診断書を返戻する例が発生した。
折しも年の暮れ、死亡診断書が返戻された会員医療機関から「パソコンで作成・印刷して医師に押印してもらう方法にしている。署名が必要だと、手間が増えてしまう」「署名が必要だと突然言われても、年末年始で各医師に通達ができない」等の相談が寄せられたため、協会は12月28日および21年1月5日、厚労省医政局医事課へ電話による問い合わせと要請を行った。
医政局医事課は死亡診断書等の記載について、当初「書式も改定しているので、従前の取り扱い(記名押印)では認められない」との返答であったが、1月6日になって事務連絡を発出。「当分の間は、改正前の様式により、署名ではなく記名押印がなされた死亡診断書が死亡の届け出の際の添付書類等として遺族等から提出された場合については、改正後の医師法施行規則第20条および第四号書式に基づいて作成されたものとみなして差し支えない」旨を示した。
事務連絡では「医師または歯科医師は、今後、死亡診断書を作成する場合、記名押印ではなく署名(電子署名を含む)する必要があることに留意する」とされているものの、今後新たな事務連絡が示されるまでは、記名押印の死亡診断書についても引き続き認められる取扱いとされ、協会の迅速な対応が功を奏した格好となった。
今回の省令と本事務連絡については、グリーンペーパーNo.293(1月25日発行)で紹介しているので参照されたい。
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