入院医療逼迫の打開を 危機的状況受け府に緊急要請  PDF

 年末年始を挟み京都府の新型コロナウイルス感染症の陽性者数が引き続き拡大しており、入院患者を受け入れている病院からは「これ以上の患者受入は無理」「病床が足りない」などの声が寄せられている。協会はこうした入院医療の逼迫を受け、1月13日に京都府健康福祉部医療課へ緊急に要請を行った。
 要請では、①京都府が示している「感染者の受入可能な医療機関」の「入院病床数」は実態に比べて過大ではないかとの疑問が寄せられている。現時点において、現実に新型コロナウイルス感染症患者の受入れが可能な病床数とその内訳を府民に対して明らかにすること②その上で、現在、受け入れを行っていない入院医療機関も含め、京都府から個別、さらに協力要請すること。同時に、受け入れにあたって想定されるさまざまな障壁を取り除くべく、医療機関に対する必要な支援策を講じること③入院医療機関の逼迫に伴い、自宅療養・入院調整中の患者数が激増する中、保健所による健康観察の強化策を講じるとともに、宿泊療養施設における医療提供体制の拡充等を緊急に整備すること―を求めた。
 また、協会が20年12月に実施した病院アンケートで各病院から寄せられた意見も同時に手渡した。

府が受入可能病床を発表
 協会の要請から4日後の17日、京都府は府知事、府医師会会長、重症患者受入病院長会議の連名で、すぐに使用できる病床が330床、うち高度重症病床が38床と発表した。17日の時点で病床利用率は82・7%、重症病床使用状況は20床となっており、医療が逼迫している状況を府民に説明し、理解を求めた。

年末年始の外来支援を要請 府・京都市が急遽実施

 協会はすべての府市民と医療機関を守る立場で、年末年始の診療・検査体制について12月23日に京都府・京都市へ要請した。
 要請は、①年末年始の相談・受診体制について、いつ、どこで医療にかかることができるのか、府市民が一目でわかるよう、具体的に広報すること。同時に、適切な受診・相談について周知し、府市民の不安を軽減すること②神奈川県(県センターの予約を受ける医療機関の場合1日当たり50万円等や岡山県1日当たり50万円等、神戸市1日当たり10万円)などのように、2020年12月29日から21年1月3日までの期間にかけ、入院だけでなく、外来においても発熱患者を受け入れた場合の財政支援制度を実施すること―の2点。
 これに対し、京都府・京都市は12月25日付で正式に年末年始の外来支援を表明した。京都府の支援金は、京都府内の医療機関(京都市除く)を対象に「きょうと新型コロナ医療相談センター」からの紹介患者受け入れに協力する医療機関に、1日あたり10万円を支給するというもの。京都市の支援金は、京都市内の医療機関を対象に「きょうと新型コロナ医療相談センター」からの紹介患者受け入れに協力する医療機関に対し、1日30万円、紹介患者の受入6人目/日以上から、1人当たり1万円を加算するというものだった。
 締切が28日という大変短い日程の中、協会は京都府・京都市と調整しながら28日付でメールマガジンやファクス、協会ホームページへの掲載などで会員へ広報し、周知を図った。

自院従業員の検査を 行政検査とするよう府に要請

 協会は新型コロナウイルス感染症に係る自家診療の例外的取り扱いを求める要請書を12月23日、京都府に提出。医師の多くが加入する医師国保では、自院での本人や従業員に対する診療(自家診療)に保険診療上の制約がある。一方で、厚生労働省の「新型コロナウイルスに関するQ&A」(9月28日)には、「保険者による全部制限があり、保険請求が不可とされているもの(全部制限の自家診療)については、都道府県等の判断により行われる検査の場合には、行政検査(公費負担の対象)となる」「都道府県等が行政検査として医療機関と委託契約を結ぶことにより保険適用として実施することが可能で、契約締結前に実施された検査についても、後に適切に契約が締結されれば、遡って行政検査として取り扱うこととしています」とある。
 協会は、発熱患者に対応する診療・検査医療機関の混乱を避けるため、京都府としてすべての医療機関における従業員の新型コロナウイルス感染症に関する検査が、都道府県等の判断により行政検査(公費負担の対象)となるよう必要な措置を行ってほしいと要請した。

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