今号(5面)に鈴木理事長が談話で解説している「オンライン資格確認」は、2019年に国会成立した「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律」(健康保険法等一部改正法)に基づき、導入された(本紙第3046号既報)。21年3月から保険資格確認にマイナンバーを用いることが可能になることから、厚生労働省は「全ての患者が診療等を受けられるように」と躍起になり、補助金も準備して「顔認証付きカードリーダー」の普及を勧めている。医療機関はなかば脅迫されたような状態で導入の検討を迫られているが、一度立ち止まり、なぜ国がオンライン資格確認を導入しようとしているのかを再確認しておく必要がある。
19年の健康保険法等一部改正法は「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るため」として、健康保険法、国民健康保険法、高齢者の医療の確保に関する法律、介護保険法、国民年金法、社会保険診療報酬支払基金法と多岐にわたる法改正であり、「これからの医療制度のインフラ整備」を図るものだった。オンライン資格確認と同時に法定化されたのは、①電子カルテ標準化(≒一元化)②レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)、介護DB連結解析とデータの第三者提供③高齢者の保健事業と介護予防の一体実施④審査支払機関の機能の強化―である。そこから浮かび上がるのはマイナンバーと個々人の医療情報を紐づけ、国が個々人の受療行動や福祉サービス需給の行動を把握できる仕組みにすること、審査基準の一元化やコンピューターチェックの強化を進め、医師の裁量に基づく医療内容へ規制的に介入すること、高齢者への保健サービスについて、「通いの場」と称したボランタリーな取組まで「社会資源」として位置付けること等である。
低迷に喘ぐマイナンバー自体の普及率を高めたいという意図とともに、オンライン資格確認の向こう側には先述のように医療の在り方を根底から覆す計画が控えている。そのことにあらためて警鐘を鳴らしたい。
オンライン資格確認とは
【図】
厚生労働省ホームページ「オンライン資格確認の導入について」より