今、保健所をはじめとして公衆衛生行政の拡充を求めている▼2010年4月まで京都市は11全ての行政区に保健所が設置されていた。地域保健法施行直後に、他の政令市のほとんどが保健所の統合を進めたのに対し、京都市は一定期間、踏みとどまっていたと評価できる。しかしその後、かつて行政区ごとに設置していた 保健所を1カ所に統合したことにより、地域密着で地区医師会とともに住民の生命・健康を守ってきた機能を後退させてきた▼各行政区に保健所があり、その所長が医師であった時代は、地区医師会員であった保健所長と地域の開業医が一緒になり、地域住民の健康や命、そして生活を守ってきた。また、地域の住民だけでなく、「町」の健康を守り、より住みやすい環境を行政と、そして住民とともに作り育てていたのだと思う。地域に医師を中心とした保健所がなくなったことで、地域の開業医は、受診された患者さんの健康や命を守るが、地域、「町」の健康を守るといった意識が失われているのではないかと思う▼私たちは開業医医療の復権を目指している。それには、地域と密着した、医師を中心とした地域の公衆衛生行政を担う保健所があり、地区医師会、地区の開業医、そして市民とともに連携していくことが、市民だけでなく、「町」の健康を守ることに繋がると思う。(治)
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