思いがけない安倍晋三氏の病気退陣により、菅義偉氏が第99代内閣総理大臣に就いた。菅氏が、私が学生時代の6年を過ごした秋田県の出身であることを知ったのは、夏の甲子園で金足農業高校が準優勝した時だ。首相就任により雄勝郡秋ノ宮村生まれと報道され、錆び付きかけた脳裏に浮かんだのは、大相撲昭和の名大関「清国」である。TVから流れる「雄勝郡雄勝町出身」の声が何故かこびりついている▼実のところ清国が生まれた時に雄勝町は存在せず正しくは横堀町で、14年後に合併で雄勝町となった。同時に秋ノ宮村も雄勝町に加わった。清国と言えば、しっかりと手をつくきれいな立ち会いで知られ、端整な顔立ちと相まって人気を博した▼菅新首相は、「国民がおかしいと思うことを正しい方向に向ける」と受け取れる発言をしている。世襲でもなく、企業の後ろ盾があるわけでもないようで、何かやってくれそうな感じを持つのは私だけではないだろう▼一方、脱派閥を謳ってきた方が、主だった派閥に担がれトップに立った。派閥の凌ぎ合いに呑まれず、清国関のように正々堂々と国民のために活動していただくよう祈りたい。同時に既得権の打破も看板に掲げている人である。自助を強調するあまり、社会保障の後退につながることのないよう、しっかり対峙していかねばならない。(呑鉄童)
MENU