地域の医療者が奮闘しているその実態を聞きたいと開始した「地域医療をきく! 新型コロナ編」。今回は発熱患者対応を行っている医療法人大森医院(下京西部)の大森浩二医師に寄稿いただいた。
私が新型コロナウイルス感染症を初めて身近に感じたのは、3月に肺炎の患者さんを診察した際であった。発熱のある方は、いつものように病院に紹介はできないという現実に直面した。結局は一般的な肺炎ですぐに良くなられ安堵したが、従来の対応では全くだめだということが分かった。
自院での院内感染を防ぐため、玄関横の駐輪場に囲いを作り発熱患者さん対応の診察室にしたが、強風にあおられると不安定なため中止。通販で購入した小さなテントを設営し診察を始めたが、狭くて使い勝手が悪く続けられなかった。
院内の待合室や診察室の換気をよくするために強力なエアコンに交換、また、採血点滴室を改築工事して、発熱患者さん専用診察室に変更し、代わりに物療室を採血点滴室にしたため物療を中止した。
その間、「発熱患者さんは、玄関を入る前にインターホンを鳴らして下さい」と玄関に貼紙をしているにもかかわらず、いきなり入ってくる方も多かった。インターホンで対応できる場合は、玄関外に椅子を置いて外で待ってもらった。電話で相談してくる方は、時間を決めて受診いただくという対応で、慌ただしいことであった。中には、電話で相談を受けて、時間をかけて詳しい聞き取りを行ったところ、濃厚接触者であると判明し、帰国者・接触者相談センターへ連絡したこともあった。
風邪症状の方の診察は神経質になった。フルPPEでの診察をしているが、患者自身はさまざまで、コロナに神経質な方、無頓着な方もあり、こちらが拍子抜けすることもある。
いずれにせよ、手がかかり、時間空間を占め、スタッフもこちらも疲労度が増加する。
当初の物資不足は改善傾向であるが、マスク、キャップ、フェイスシールド、ガウンは、ひどく汚染されない限り1週間以上干して再利用、4月頃、既製品が入手できなかったため家族友人に依頼して作ってもらった多くの布製手作り防護衣は洗濯して再利用して凌いでいる。
皆どのようにして外来診療をしているのだろうか。日々、スタッフと相談しながら手探り状態の診療である。
大森浩二 医師(手作り防護衣で)
〈プロフィール〉
1983年 京都府立医科大学卒、第二外科入局
1993年 京都府立医科大学附属北部医療センター(旧府立与謝の海病院)
1996年 大森医院承継