医界寸評  PDF

 先月、プロ野球マツダスタジアムでの広島―中日の公式戦で、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の啓発イベントが行われたと報じられた。教頭先生のALS発症をきっかけに活動を始めた高校生の思いが届いてとのこと。難病の人を支えようという思いが伝わったのであろう▼少し以前には、アイスバケツチャレンジというのがあった。あれよあれよという間に世界中に広がり、著名な方々も参加しその姿を発信していた。これもALSの人を支えようという活動の一つである▼一方、発生から1年になる、ALSの方の嘱託殺人事件は、本年7月の逮捕から、8月の起訴、そして有印公文書偽造罪も加わって、先月には、公判前整理手続が始まっている。支えていこうと頑張る人がいる一方に、このような揺れ動く気持ちの一方のみを支持し、そちらに誘導していってしまう人がいるとは驚きである▼今はネット社会で、簡単に見ず知らずの人とつながることができる。それで犯罪に巻き込まれることもあれば、この事件のように偏った考えに引きずり込まれることもあり、偏見差別につながることもあろう。一方で、アイスバケツチャレンジのような連鎖も起こり、広く病気のことを知ってもらい、支えていこうという流れができることもある。ネット社会とうまく付き合いたいものである。(門雀庵)

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