会員の声踏まえ府に意見提出
「次のインフルエンザ流行に備えた体制整備について」(9月4日付事務連絡)を受け、京都府における11月1日からの診療・検査体制は、府と京都府医師会の行政検査に係る集合契約に参加する医療機関(477カ所※1)を基本に府が指定する形が採られることになった。
府は各医療機関に対し、「自院の患者のみ対応する診療・検査医療機関」か「紹介患者も受け入れる診療・検査医療機関」か、意向調査し、回答した医療機関を11月1日付で指定するもよう。なお、集合契約に参加していても診療・検査医療機関になることを望まない場合、あるいは新たに集合契約に参加し、診療・検査医療機関になることを希望する場合、いずれも京都府医師会に連絡する。府医師会非会員で、診療・検査医療機関になることを希望する場合は、府または京都市に直接連絡する。
これまでの「帰国者・接触者相談センター」は府市協調で設置する「新型コロナ医療相談センター」に模様替えされる。意向調査で「紹介患者も受け入れる」とした医療機関の情報はセンターに登録される。発熱患者はまず「かかりつけの医師」に電話で相談し、当該医療機関が診療・検査医療機関でなく、受け入れ不可能な場合はセンターを通じて、他の紹介患者を受け入れる診療・検査医療機関として指定された医療機関に繋いでもらい、受診する。
現段階では、検査を行わないかかりつけ医から直接、診療・検査医療機関につながるルートはない。府は診療・検査医療機関を原則非公表としており、地区の医療機関同士で情報を共有するための調整が整っていないためとみられる。
協会は府の方針を確認しながら、同時に内科、小児科、耳鼻咽喉科を第一標榜科とする会員への緊急アンケートを実施(関連2面)。会員から寄せられた意見、要望を踏まえ、10月29日、京都府知事宛に「新型コロナウイルス感染症とインフルエンザ同時流行に備えた診療・検査体制についての意見」を提出した。対応は府健康福祉部健康対策課の田中美奈子課長と感染症対策係中川拓也課長補佐兼係長。協会からは吉中丈志理事が出席した。
意見書は集合契約を通じた診療・検査医療機関が確保できない地域が存在することも想定し、府が地域ごとに新たな診療・検査体制の確保方針と確保目標を立て、必要に応じて公的発熱外来を設置する独自の対策を第一に求めた。また陽性となった患者が自宅療養と判断された場合に保健所からの電話等での健康管理だけでなく、生活上の支援についても行政が責任を持つこと等、多岐にわたって要望。さらに医療機関名公表は府民・患者の不安を解消するリスクコミュニケーション策の根幹にかかわる問題であり、「どうすれば公表できるのか。どのような条件をクリアすべきなのか」を検討すべきと要請した。
診療・検査医療機関になると厚生労働省の補助金である発熱外来診療体制確保支援補助金(本紙3083号既報)を受けるため、厚生労働省への交付申請を行う必要がある。交付には府の指定が必要であり、行政からのアナウンスにも注意が要る。
※1 2020年10月23日 第25回京都府新型コロナウイルス感染症対策本部会議資料