新型コロナ対策で倉林参院議員と懇談 協会の医療機関支援案などに賛意  PDF

 倉林明子参議院議員との懇談を8月6日に協会会議室で開催した。協会からは鈴木卓理事長、渡邉賢治副理事長が出席した。懇談は倉林議員からの申し出で実現し、新型コロナウイルス感染症を巡る現状などで意見交換した。
 倉林議員は、新型コロナウイルスの感染症患者が増加しているにもかかわらず、首相は会見も開かず、野党が憲法に基づいて請求しているのに国会も開かれない。感染防止あってこそ経済を回す目安も見えてくるのであって、PCR検査を積極的にやるべきと申し入れをしていることなど問題意識を発言。
 協会から新型コロナウイルス感染症についてのこの間の対策を説明。経営悪化の医療機関への支援案(表)を説明して理解を求めた。協会案は、日医や保団連などの求めている概算払いとは違って、国から都道府県を通じた包括支援交付金のスキームの使用を想定しており、医療機関側から昨年実績額と今年の請求額を記載した書類を都道府県窓口に提出、申請し、認められればその差額が基金・国保から診療報酬口座に振り込まれる仕組みである。都道府県の事務負担は比較的少なくてすむ。今年の4月、5月請求分はすでに報告されているのでそれをもとに試算したところでは、必要な財源額は1カ月あたり4千億~5千億円(3カ月分で多くても1・5兆円)であり、すでに予算化されている第2次補正予算の活用で十分対応できる額である。
 倉林議員は、「厚労省は診療実績に基づかない保険財政からの支払いはできないという原則論を守りたいと考えているため、レセプト請求のない、いわゆる概算払いには否定的である。また、他業種に対し行われている持続化給付金がそれだが、国は現時点では『損失補填』という発想には立っていない。それでも、現状を踏まえれば医療機関を潰してはいけないという認識に立って損失補填を正面からやらないと医療現場はもたない。協会案は、今ある仕組みの中で完結するので合理的である」と賛意を示した。
 また、公的発熱外来を保健所の敷地内や地域の拠点病院に設置して地区医師会と提携するという協会提案についても、倉林議員は賛意を示し、地域でやりやすい方法を考えて動くべきだとした。新型インフルの際は発熱外来を公開して患者が集中した。これを厚労省は教訓とし、今回は帰国者・接触者外来を非公開にした。これでは目詰まりするのは当たり前で、検査センターというかたちで保健所を通さないルートを作ったが、これは国が責任をもってやるものになっていない。困っている医師会が自力で立ち上げたものに、後から予算をつけざるを得ないようになっている。患者から尋ねられても「ここに行って」というところがないのでは、国民は安心できないし感染拡大も防げないと述べた。
 さらに、感染者への差別やいじめも深刻さを増しており、その解決には公的機関からの情報発信と保健所の関わりが必要との協会見解を示した。倉林議員も首相が根拠をもって説明しないと差別感情はなくならないと発言。保健所は業務が多すぎて逼迫しており、クラスター対策の転換や、思い切った体制強化をしないと機能しないと指摘した。

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