新型コロナウイルス感染症拡大を防ぐには、個々人の自覚と行動が求められる。感染した人たちの生命を守り、さらなる感染拡大を防ぐ役割は医療機関が担う。しかし、そうしたあらゆる対策の基盤となるのが公衆衛生政策であり、それを担う行政機関が保健所である。
しかし、実際に感染症に見舞われてみれば、保健所が抱えてきた困難が次々と露呈する事態になった。新聞は「京都市保健所」の困難を、人員不足、保健所の数自体が足りない、そうした実情がPCR検査の進まない一因ともなっているのではないか、という論調で報道している。
保健所の抱えた困難の要因は、少なくとも1994年に保健所法が地域保健法に改定された時点に遡って考える必要がある。これまでの歴史をあらためて俯瞰し、従来、保健所が担っていた機能を再評価するとともに、保健所を中核機関とした地域保健・公衆衛生政策とはどうあるべきかを考えてゆくことが必要だ。
こうした問題意識のもと、協会は他団体とともに7月28日に実行委員会準備会を開催。まずは京都市の保健衛生行政に焦点を当てた実行委員会を結成することを確認した。実行委員長は、渡邉賢治協会副理事長が務める。
実行委員会では、保健所をめぐる国政策の歴史的経緯や現状の保健所機能、新型コロナウイルス感染症への現在の体制などを報告し、意見を交換。今後は、京都市内の保健所等の訪問聞き取りで実態の調査を進めるとともに、住民アンケートを実施し市に保健衛生行政の拡充・発展を求め提言を行うこととした。さらに11月1日にはウィングス京都でシンポジウムの開催を決定。市民への呼びかけも積極的に行っていく。
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