大きな声では言えないのですが… 土田 英人(左京)  PDF

 コロナ禍の中、皆様大変な思いで日々診療に当たっておられることと存じます。特に最前線でコロナ治療に当たっておられる先生方に、この場を借りてあらためて感謝と敬意を表したいと思います。
 さて、あまりこれと言った趣味を持たない私ですが、半年前までは「ゴルフが趣味です」と公言して、それなりに熱中しておりました。しかし残念ながら、忌まわしきコロナウイルスの影響で、ラウンドはおろか、ろくに練習もできなくなったうえに、とどめの五十肩で思うように飛距離も出なくなり、最近ではすっかり熱が冷めてしまっておりました。
 では、週末に在宅を余儀なくされている近頃の趣味はと申しますと、あまり大きな声で言えないのですが、少し前から「競馬」に熱中しております。
 競馬自体は、Wikipediaによりますと「競馬発祥の地イギリスでは、王侯貴族や有力者によって近代競馬が形創られた過程に鑑みて『Sport of Kings』と形容される」高尚な遊びであり、日本においても、明治政府による優秀な軍馬の育成目的と鹿鳴館に並ぶ欧化政策の一環として奨励された国策が始まりの由緒正しい「スポーツ」であります。
 ではなぜ声を大にして言わないのかと申しますと、「競馬は賭博である」という否定しがたい事実のうえに、実は私自身が『ギャンブル依存(金剛出版)』という本の翻訳者だからです。それまで賭け事らしい賭け事と言えば「宝くじ」くらいのものでした。それが2年前の秋華賞というレースで、アーモンドアイという同じ誕生日(3月10日)の馬を応援して買った馬券が当たって競馬が面白く感じるようになり、このコロナによる週末の手持無沙汰を機に、一気に熱中の度合いが増したのでした。そしてこの頃は周囲から「まさにミイラ取りがミイラになりおった」との賛辞を頂戴する羽目になりました。
 しかし、そこはさすがにギャンブル依存症の翻訳者としてのプライドもあり、莫大な損失を続けていては本物のミイラになりかねませんので、一種の「推理ゲーム」として少額で興じることを心がけて、これからも「ほどほどに」楽しもうと思っております。

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