ペットの思い出とともに 調 幸治(亀岡)  PDF

 ペットブームである。その中でも、犬は人間を理解し、人に癒しを与えてくれる。犬を大切にしている家族も多い。30年以上当院に勤務してくれている職員の川勝家の愛犬レオ(オス・3歳)を家族の言葉で紹介しよう。
 「旧ユーゴスラビア・ダルメシアン地方原産で、番犬として飼われていました。独特の白に黒のブチ模様が特徴で筋肉質の中型犬です。性格は優しく人なつっこいのですが、知らない人には警戒心が強く番犬に適した性格です。
 101(ワン・オー・ワン)という101匹わんちゃんを映画化したのを見て可愛く思い子どもたちからの要望もあり、各自が責任を持って世話をするということで迎えることにしました。子犬の頃はやんちゃ坊主でしたが、首をかしげる表情などはとても愛らしい犬でした。現在は大きくなり恐ろしそうに見えるのですが、家族に見せてくれる表情は子犬の時と同様に可愛らしく、出掛ける時には連れて行ってと言いたげに犬小屋から出てきて見送ってくれ、帰って来た時は、体中で喜びを表して出迎えてくれる家族の一員です」。
 縁あって家庭で飼われている犬は幸せである。また盲導犬など仕事をしている犬も生き生きとして幸せである。しかし全国で処分されている犬は、年間約十万匹にものぼると聞いてショックをうけた。ペットブームの裏の現状である。
 能勢町に「アーク」という施設がある。阪神・淡路大震災をきっかけに、身寄りのない犬や猫たち600匹を育てている。それを運営している英国のエリザベス・オリバーさんの本を読んで感動した。犬が好きだったら犬を家族の一員として受け入れる。わずらわされることも多いが、家族を癒してもくれる。
 ただし、溺愛はいけない。人よりも大事にしてはいけない。リーダーはあくまでも主人である人間である。そして、近所に迷惑をかけすぎないように。
 人間の身勝手で処分せざるを得なくなる現実はあるが、処分される犬の悲しみに満ちた目を忘れてはならない。そして、幸せに共存できる環境を目指す必要があると思うのである。
 過去には、40万匹以上の処分数が最近ではかなり減少したものの、コロナの影響により保健所等での保護犬の交流会が中止となり、犬の処分が増加するのでは…と心配している。

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