京都市は7月2日、「京都市持続可能な行財政審議会」を立ち上げ、歳入歳出の抜本的直しの検討を始めた。全7回程度開催し、来年3月に答申を予定している。
市は、恒常的に歳出に必要な歳入を確保できていないことから、福祉・医療・子育て支援・教育の維持充実などのための不足財源を将来に備えた公債償還基金の取り崩しで補填しているため、本来あるべき残高の3分の2しかないことを問題視。他の政令市より大学生や高齢者の割合が高いため個人市民税が少なく、建築物の高さ制限等によって固定資産税が少ないこと、交付税依存率が高いため国予算の動向に左右されやすい財政構造であるためとした。このため、自主財源の強化、市民サービス・組織体制の再構築、将来的な負債の軽減を目的に「改革」を進めるという。
市で実施している任意事業のリストには、府市協調で実施する医療費助成(障害者医療費・子ども医療費・ひとり親家庭等医療費・老人医療費・重度障害老人健康管理費助成費)も挙げられている。次回以降の検証対象としては、敬老乗車証、老人医療、学童う歯対策(小学生のむし歯治療費の助成)や国保事業への財政支援、上下水道への負担金などが予定されている。
京都市は2009年にも財政改革有識者会議で審議した結果、大幅な職員削減や業務リストラを行っている。今回の審議会設置条例を可決したのは2月議会で、新型コロナウイルスの感染拡大とは直接関係していない。しかし、コロナ対策でさらに財政が厳しくなっているのは間違いなく、それを梃子に進められる可能性は高い。
「財政が大変だからやむを得ない」で突き進むのではなく、自治体として踏みとどまらねばならないことは何なのかが問われる。協会は福祉医療の助成等に関して必要なサービスを維持できるよう働きかけを行っていく。
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