4月30日から5月8日にかけて協会が行った会員医療機関への新型コロナウイルス感染症にかかる緊急アンケートによって、医療機関の経営に深刻な影響が出ていることが判明した。アンケート結果によると保険診療収入は回答者486人(回答率30%)の91%が減少。減少幅は「~30%」が63%、「~50%」が21%、「~70%」が4%、「70%以上」が3%で、50%未満の減少幅が84%にも及ぶ結果だった。さらには、該当者は少ないものの70%未満、あるいは70%以上の減収幅という回答もあり、「閉院を検討している」という記述も見られた(本紙3075号既報)。
この調査結果は、5月8日時点のものであり、その後も患者の受診手控え傾向は続いている。このままの状態が続けば、今後、多くの医療機関が事業をこれまで通り継続していくことが困難になる危険性がある。今後起こると予測される感染拡大第2波に向けて、各医療機関が新たな診療体制を作っていく上での大きな障害になりかねない。
現在国は、新型コロナ感染拡大の影響を受けた事業者に対し、損失補填ではなく営業持続に向けた定額補助金を支給している。しかし、支給対象となる条件の高さもさることながら、あらゆる制度を最大限活用したとしても、とてもそれでは間に合わないという声が多く上がっている。それは、医療機関も例外ではない。
協会はすでに、国や府、京都市に5月28日付で医療機関への経営支援等を要請した。しかしこうした実情を受け、より具体的な財政支援策が必要と考え、他の多くの事業者の実情に見合った損失補填制度の新設とともに、全医療機関に損失補填の公的財政支援を求め、要請を行った。
この要請は、7月15日付で首相、財務相、厚生労働相、内閣特命担当相や関係各所に届けた。
要 請 内 容
1.20年5・6・7月請求分(4・5・6月診療分)について、保険医療機関からの申請に基づき、昨年同月実績との報酬差額を公費にて助成いただきたい
※保険医療機関は、申請にあたって本年4月、5月、6月提出の診療報酬請求明細書の写しと、昨年の同月分の支払い確定額(患者負担分は除かれる)が確認できる書類の写し、その双方を添付し、各都道府県に対し提出するものとする。その後、各都道府県において受理された申請分については、国保連合会、または社会保険診療報酬支払基金を通じて申請のあった保険医療機関の診療報酬振込指定口座あてに振り込むものとする
2.昨年分の実績のない、開業から日の浅い医療機関については、開業後の実績額と比較して一定割合の減収がみられる場合、持続化給付金に準ずる制度を厚労省において創設いただき、特例給付いただくなど、別途対策をご検討いただきたい
3.今般の事態によりその財政が悪化している、あるいは悪化の見通しである保険者に対し、保険者財政の悪化による支払い遅延などが生じないよう緊急助成を行っていただきたい