2020 診療報酬 改定こうみる 8  PDF

精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築が改定テーマに
精神科 東前 隆司

 精神科領域における今回の改定では「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築」が見直しのテーマとなった。地域との連携を含む他職種連携の取り組みの強化、精神疾患を持つ人の地域への移行定着、地域生活支援の充実を含む質の高い精神医療を評価することなどである。精神科退院時共同指導料、通院精神療法の療養生活環境整備指導加算、精神科在宅患者支援管理料の見直し等がそれに対応するが、算定要件、施設基準の見直しもあるため注意を要する。
 精神科病棟における高度な医療促進のため、わが国で普及が遅れているとされるクロザピンの普及促進、持続性抗精神病注射薬剤(LAI)の使用促進が示された。精神科急性期医師配置加算においてクロザピン導入実績により差がつくことになり、クロザピン新規導入を目的とした病棟に対しては在宅移行率により優遇策が設けられた。また、精神科身体合併症管理加算の見直し、精神科療養病棟におけるリハビリテーションの推進が示されている。
 個別疾患に対する治療・支援の充実では、ギャンブル依存症の集団療法プログラムに対する評価が新設された。また心理的発達の障害に対する支援の充実として小児特定疾患カウンセリング料において公認心理士によるカウンセリングに対する評価が加わった。算定要件に注意されたい。一方で長谷川式知能評価スケールやMMSEが原則3カ月に1回の算定に制限された。
 今回の改定は前述のような内容であるが、「新型コロナウイルス感染症に係わる診療報酬上の臨時的な取扱い」で通院・在宅精神療法を電話や情報通信機器を用いた診療を行った場合、B000特定疾患療養管理料の147点を月1回限り算定できることとされた。週1回の算定が可能だったものが月1回の算定制限となったこと等について、改善を求める要請書を京都府保険医協会と保団連は4月23日に厚労大臣や関係委員会の全委員に送付していることを付記したい。

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