2020診療報酬改定こうみる 7  PDF

大きな増減ないものの日常診療に生かせる改定に
皮膚科顧問 谷岡 未樹

 今回の改定では、皮膚科領域に大きな増減はなかった。ただし、適応疾患の追加を代表例として細部では日常診療に反映できる改定点があった。
 紫外線療法の適応疾患に円形脱毛症が追加された。これまで有効性は知られていたが、適応がないため治療に難渋していた。難治性の円形脱毛症患者にとって有益である。
 また、センチネルリンパ節生検加算の適応疾患も悪性黒色腫に限られていたが、乳房外ページェット病が追加された。これも実臨床の現場を反映している。
 増点された処置として、皮膚切開がある。いずれの範囲においても100点以上加算された。外来で外科的治療を行うことに対しての加点であり評価できる。
 ダーモスコピー検査が新たな病変に対して行われる場合、月に1回算定できることになったのも妥当である。
 ヘルペスウイルス感染症に対するTzanckテストが細胞診で算定可能となったことは、外来での確定診断の精度を上げる結果となるであろう。
 届出制ではあるが、トラフェルミン治療や陰圧閉鎖療法で改善しない難治性の皮膚潰瘍に対して多血小板血漿療法が承認された。皮膚科領域での新規医療技術が認可されたことは、難治例を診療する基幹病院には朗報である。
 まとめると、今回の改定では、日常診療の細かな点で改善が見られたが、まだまだ改良の余地は残っている。今後も、日常診療に生かせる診療報酬改定が期待される。

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