協会は京都府知事宛に第3次緊急要望として「京都検査センター設置についての意見」を4月30日に送付。意見では、京都府設置、府医師会運営の検査センターを歓迎するとともに、検査部門の実施場所・時間の拡大、地域の医療機関の感染防御に向けた医療資機材の保障など、より良い仕組みとなるよう求めた。同時に、4月1日提出の第2次緊急提言※で求めていた、保健所の機能拡充・強化をはかり公的な発熱外来を設置、そこでのPCR検査も可能とする仕組みをあらためて求めた。
第3次緊急要望
1、PCR検査を必要とする患者さんが適切に検査を受けることができるよう、今般のセンター設置については歓迎したい。しかしながら、いくつかの懸念事項があるため、より良い仕組みとなるよう、次のとおり要望する。
①検査部門の実施場所について、府内5カ所(京都市内4カ所、京都府南部1カ所)としている。東京都においては都内47カ所(地域医師会と同数)の地域PCRセンター設置が目指されている。京都府においても24の地区医師会を最小単位とし、京都市においては行政区単位、他の市町村においても最低限二次医療圏単位に1カ所以上、住民の身近な場所に設置していただくことが望ましいと考える。当面、少なくとも北部地域・南部地域においても複数の検査部門の設置を求めたい。
②検査件数をさらに増やすための体制整備を前提に、実施時間は平日の午後2時からの2時間のみでなく、東京都の事例にならい午前9時~午後5時とする等、必要十分な体制を目指していただきたい。
③かかりつけ医(地域診療所)からの相談部門(京都府医師会館内)への相談、相談部門による検査適応の判断、予約、検査実施との流れが想定されている。この際、相談部門と予約部門を切り離すこと、対応時間も午前9時~午後5時としていただきたい。また、検査適応判断の基準にばらつきが生じないよう、適切なガイドラインを策定されたい。
④センターに出務する医師の出務費用は1万5000円と旅費に加え、危険手当を上乗せいただきたい。
⑤今回のセンター設置は、かかりつけ医(地域診療所)に新型コロナウイルス感染症の疑い患者さんへの診療をスタンダードに求めることにつながる。発熱症状はじめ、感染の疑いを自ら訴える患者さんについては電話による相談・センターへの紹介を基本にするとともに、地域のすべての医師が万全な感染防御対策がとれるよう、必要な医療資機材を公の責任で配布していただきたい。
2、PCR・抗体検査も可能な公的な発熱外来の設置の必要性
上記のとおり、検査センターは住民の身近な場所に複数設置されることが望ましいと考える。しかしながら、実際の対応にあたる地区医師会にはそれぞれ異なる実情を抱えていること、検査センターに患者をつなぐ役割を担う開業医の感染防御策等、乗り越えるべき課題が多い。そうした懸念事項を解決するには、現時点では当協会が提言した「新型コロナウイルス感染症対策への緊急提言(第2次)」(4月1日)に基づき、保健所機能を活用・拡充し、PCR・抗体検査も実施できる公的な発熱外来の設置を検討することが最善の策と考える。また、現時点では自家用車で行ける府民のみが検査対象となっているが、必要とされるすべての人に検査を保障する観点からも、あらためて検討を求めたい。 以上
※第2次緊急提言「新型コロナウイルス感染症対策について」抜粋
2-(3) 保健所機能を活用・拡充し、発熱外来の設置とPCR・抗体検査の実施を
1)京都府、京都市の本庁内に、医師等専門職を含めた対策検討チームを常設し、同様の者を地域の保健所にも設置(京都市の場合は、本庁に集めた専門職を再度各行政区に戻し、保健所機能を復活させる)する必要があると考える。
2)保健所には、その敷地内に発熱外来を臨時で設置し、地区医師会の協力を得て開業医・病院勤務医(小児科医も含む)による輪番診療にしてはどうか。なお、京都府は、帰国者・接触者外来を30カ所から5月中旬までに40カ所に拡充する方針を示しているが、当会としては帰国者・接触者外来を上記の発熱外来に切り替え、ここを拠点にPCRや抗体検査などによって新型コロナ感染の可否を判別して通常の医療提供体制につなげるべきであると考える。