理不尽な短期滞在3の引き下げ
外科
副理事長 林 一資
外保連は、計83学会から挙がった要望を取りまとめ、新設164項目(手術81項目)、改正208項目(手術129項目)、材料34項目を19年夏、厚生労働省に申請している。10月31日の中医協の診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会では、新規140項目(手術77項目)、改定184項目(127項目)等を評価対象技術としていた。
K502-5胸腔鏡下拡大胸腺摘出術、K514-2胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除)、K529-3縦隔鏡下食道悪性腫瘍手術、K702-2腹腔鏡下膵体尾部腫瘍切除術、K703-2腹腔鏡下膵頭部腫瘍切除術、K778-2腹腔鏡下腎盂形成手術、K865-2腹腔鏡下仙骨膣固定術が、新たに内視鏡手術支援機器の対象となった(要届出)。
皮膚切開術の「長径10㎝未満」が100点増点、関節脱臼非観血的整復術の「肩、股、膝」が300点増点、「胸鎖、肘、手、足」が260点増点、「肩鎖、指(手、足)、小児肘内障」が160点増点、爪甲除去術が130点増点で引き上げられる等、多くの手術料が引き上げられた。
消化器系では、K527-2食道切除術(単に切除のみのもの)(46100点)が新設、K653内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術に「3.早期悪性腫瘍十二指腸粘膜下層剥離術」(21370点)が追加、K687内視鏡的乳頭切開術に「3.胆道鏡下結石破砕術を伴うもの」(31700点)が追加。K719結腸切除術に人工肛門造設加算(2000点)、K719-2腹腔鏡下結腸切除術に人工肛門造設加算(3470点)、K722小腸結腸内視鏡的止血術にバルーン内視鏡加算(3500点)が新設された。
K735-2小腸・結腸狭窄部拡張術(内視鏡によるもの)は、短期間または同一入院期間中において2回限り算定することとされた。
同一手術野等の手術(通則14)において、複数手術の特例(主たる手術に対し、従たる手術の100分の50を加算できる手術)に、47通りの組み合わせが追加された。詳細は4月23日にお送りした保団連『新点数運用Q&A・レセプトの記載』141ページからを参照されたい。
短期滞在手術等基本料3は対象手術等における18年度の平均在院日数を踏まえ評価を見直すとして、対象25項目全てで軒並み点数が引き下げられた。「3」はいわゆるDRG/PPSに当たるが、医療機関の努力、技術の向上により在院日数が短縮したデータを根拠として一律に引き下げられる危険な構造の点数であることが浮き彫りとなった。
「メンテナンス」 改定に終始
整形外科
理事 宇田憲司
前回改定で新設された小児運動器疾患指導管理料(B001 -28)250点は、適用年齢が6歳未満から12歳未満に上げられた。継続的に専門的管理を要する運動器疾患を有する入院外の患者、すなわち先天性股関節脱臼等の有病患者、装具を使用する患者、医師が継続的なリハビリテーションが必要と判断する患者、その他、手術適応の評価等、成長に応じた適切な治療法の選択のため継続的な診療が必要な患者のいずれかで、継続的な管理が必要なものに対し、小児の運動器疾患に関する適切な研修を修了した医師が、治療計画に基づき療養上の指導を行う専門的管理を行った場合に、初回算定月から6カ月以内は月1回、それ以降は6カ月に1回の算定が可能とされた。なお、初診時に上記の要件に該当する患者には、患者と家族の同意を得て15歳になるまで算定可能である。従前は届出不要であったが、今回の改定から届出を要する。
他科とも関連する整形外科的な検査としては、関節鏡検査(片側)(J003)が40点増点した(新生児・乳幼児も増点)。処置については、入院中に行った局所陰圧閉鎖処置(J003)の初回時に持続洗浄加算500点がついた。治療用の装具・義肢などの採寸・採型ギプス等についての用語が義肢採型法(J129~J129-4)に整理され、フットインプレッションフォームによる採型が200点として明瞭化された。
手術では、関節脱臼非観血的整復術(K061)の各項目がそれぞれ増点された。鋼線等による直達牽引の初日観血的になされた場合(K083)は610点増点され、3620点となった。爪甲除去術(K089)が130点増点され770点となったほか、ひょう疸手術の軟部組織のもの(K090-1)が100点増点され1190点となった。一方で、四肢切断術(K084)の指(手・足)3330点が削除され、今後は断端形成術(K086・K087)の指(手・足)で算定することとされた。
疾患別リハビリの実施に当たっては、リハビリ実施計画書の作成が、リハビリ開始後原則として7日以内に作成すればよいとされ、作成時およびその後3月に1回、患者または家族に説明して、計画書の写しをカルテに添付することとされた。また、計画書作成前のリハビリは医師によるものまたは、医師の具体的指示によるもののみ算定可とされた。
今回の改定では、インパクトのある改定項目は見当たらず、一部のマスコミからは「メンテナンス改定」とも言われる。しかし、今回の改定に沿って診療業務に勤しみ、2年後に、医療崩壊を誘導するようなドラスティックな改定でなく適正な改定を獲得できるよう、今後とも大きく目を見開いて診療報酬獲得運動を展開する必要がある。