医界寸評  PDF

 新型コロナ肺炎問題で明らかになったことがある。まずわが国の感染拡大を防止する検査、防疫体制は脆弱である。そして地域の医療機関は長年にわたる医療費抑制政策の中で疲弊し、すでにぎりぎりの状態で診療に当たっているため、感染者の重症化を避けるための医療を新たに担う余力は乏しいということである。イタリアの感染拡大では医療予算削減による医療体制の脆弱さが背景として指摘されている。あらためて医療費削減政策の弊害を目の当たりにすることになった▼内閣府などから出される主な経済指標によると、2018年10月にはわが国はすでに景気後退局面に入ったとみられる。19年の消費税増税、さらに今回の新型肺炎と悪条件が重なり、リーマンショックを上回る景気悪化も懸念される▼人類の歴史は感染症との戦いの歴史でもある。ペスト、エボラウイルス等々。一方で人類はウイルスと共生していることも事実である▼ウイルスが蔓延する中にあっても我々の健全な心まで感染させてはならない。我々がなすべきは、中心軸をぶらさず原点に立ち返ることだ。我々にとっての原点とは、目の前に困っている人がいたら手を差し伸べる、病人がいたら助けるということ。そのために科学があり、組織があり、制度があるのである。原点に基づいた行動。その先に最終的勝利は必ずあり。(clear)

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