2020 診療報酬改定こうみる1  PDF

 本号より8回にわたって2020年度診療報酬改定の分析・評価を、入院外(全体)、入院、内科・在宅医療、外科・整形外科、小児科・産婦人科、眼科・耳鼻咽喉科、皮膚科、精神科の項目で掲載する。

外来機能分化がより一層加速
入院外(全体)
副理事長 福山正紀

 「入院外」での今改定における特徴を端的に表すと「外来医療の機能分化が一層進められつつある」と言えるのではなかろうか。
 まずは、初診料の機能強化加算の施設基準に「医療機能情報提供制度」を利用して「かかりつけ医機能」を有する医療機関が検索できることを見やすい場所に掲示することが要件に追加された。ここでいう「かかりつけ医機能」とは、地域包括診療加算、同診療料、小児かかりつけ診療料、機能強化加算の届出医療機関の他、日常的な医学管理と重症化予防、地域の医療機関等との連携、在宅療養支援、介護等との連携、適切かつ分かりやすい情報の提供などの機能である。政府の考える「かかりつけ医」普及への布石と考えられる。
 また、必要に応じて専門医療機関を紹介できることを院内掲示することが要件として追加された点も重要であろう。
 一方、今回新設の情報提供料(Ⅲ)(150点)はやや分かりにくい点数であるが、機能強化加算の施設基準の対象となる点数の届出を行っている医療機関が、紹介元である医療機関へ情報提供した場合であって、情報提供料(Ⅰ)の算定要件(患者紹介)に当たらない情報提供をした場合に算定できるものであり、最初の紹介時は(Ⅰ)(250点)を当然算定するが、その後双方で診療継続中に情報交換した場合の、これまで評価されなかったものが算定可能となったと理解される。しかも「かかりつけ医機能」を有するところと連携先にだけ極めて限定的に緩和した点も注目すべきである。
 また政府は、「外来受診時の定額負担導入の検討」を再び掲げている。今回の改定はそうした医療提供改革の方向に沿うものである。フリーアクセスを守るため制度改悪に反対し、今回の改定による外来機能の差別化推進を注視していく必要がある。
 さらに今改定では、紹介のない患者の初・再診料の「強制的」差額徴収の対象となる地域医療支援病院が一般病床200床以上に拡大された。社保審では紹介のない患者の初・再診料の「強制的」差額徴収の対象を全ての一般病床200床以上の病院に拡大する議論がスタートしており、今回の改定は将来的な「強制的」差額徴収の実施が意識されているものと思われる。
 以上のように「かかりつけ医機能」を有する医療機関と、そうでない医療機関の差別化は、今後も改定ごとに検討されていくものと考えられ、大きな危惧を感じざるを得ない。
 その他の全科に関わる汎用点数の変化を述べると、内服薬・浸煎薬・屯服薬、外用薬の各調剤料が、2000年以来20年ぶりにそれぞれ2点ずつ引き上げられ、また、静脈血採血料の5点引き上げ、点滴注射手技料1・2それぞれの1点引き上げ等、汎用技術料の引き上げは望ましいことではあるが、一方で生化学的検査(Ⅰ)の10項目以上の包括点数が3点引き下げられており、会員各位には改めて検査会社との交渉をお願いしたい。

ページの先頭へ