協会は、経営対策セミナー「知っておきたい医院のための雇用管理」を1月29日に開催した。講師は桂好志郎社会保険労務士、参加者は17人。
働き方改革関連法が成立し、2019年4月より順次施行された。月刊保団連「医院経営と雇用管理2019」をテキストに、雇用管理の基本原則と法改正のポイントを解説した。
桂氏ははじめに、人手不足を背景に、看護師を紹介する有料職業紹介ビジネスの過熱や、無料を謳った求人広告の無料掲載期間後に自動で有料掲載へ移行し多額の広告料金を請求されるトラブルが増えていることを紹介。「いずれも、従業員が定着していないことが原因。そもそも医院に魅力があれば従業員は辞めず、このようなトラブルは回避できる。従業員の定着が何よりも重要だ」と強調した。
今回の法改正で、事業者には労働時間の適正な把握が義務付けられた。桂氏は、タイムカードは不正や不公平のないよう、休憩室や更衣室ではなく、院長の目の届くところに置くよう注意を促した。また、開業して何年も経つと、曜日によって診療終了時刻にバラつきが出るため、毎年、所定労働時間を現状に見直すことで、時間外手当の削減や、求人募集で夜診の終了時間が早いことをアピールできる等の効果があると説明した。
年次有給休暇(年休)は、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るため、また、ゆとりある生活の実現にも資するという位置づけから、休日の他に毎年一定日数を与えるよう規定されいる。年休は、採用日から6カ月継続勤務し、全労働日数の8割以上出勤した従業員に付与される。各従業員に年休が付与される日がそれぞれの基準日となる。所定労働日数が少ないパート従業員にも比例付与される。今回改定された「年5日間の年休取得」は、年休付与日数が10日以上の従業員に対し、2019年4月以降最初の基準日から1年以内に取得させる必要があり、違反した場合罰金が科せられる。桂氏は、退職時にまとめて年休を取られて引継ぎができなくなることのないよう日頃から年休を取得させておくことの重要性を強調し、患者の少ない月の計画的付与の導入、誕生月の1日取得の推奨、半日単位の取得等、医院でできる具体的な運用方法を紹介した。
その他、労働条件通知書、 就業規則、 賃金、 ハラスメント対策等を解説した。