主張 介護認定給付業務の集約・委託化 自治体の姿勢問われる事態  PDF

 京都市は2018年12月に、「介護保険認定給付業務の見直しについて」の提案を明らかにした。内容は、介護認定給付業務を担っている認定給付嘱託員・訪問調査嘱託員を廃止。130人を雇止めし、業務の大部分を各区役所・支所から引きあげて集約化し、民間企業に委託するというもの。このことは、行政が行わなければならない、必要なすべての人に必要なサービスを提供するという京都市の責任が放棄されてしまうものだとして、協会は白紙撤回を要望してきた。
 京都市は、市民の1万5千筆を超える反対署名に耳を傾けず、今日まで来た。
 また、委託先のパーソルテンプスタッフがどのような企画を提案し、京都市が委託したのか、その企画提案書も示されていない。京都市と委託契約することは、京都市民と契約することに繋がる。自治体に代わってサービスを提供する際、どういった体制で提供していくかを示すことは、基本的な姿勢である。こういった大切なことを置き去りにして物事を進める京都市の姿勢が、多くの市民に大きな不安を持たせる。
 協会は、介護認定審査会委員の医師にアンケートを行った。結果は、今回の京都市の方針に半数以上が反対。反対理由として、介護認定・給付業務に悪影響が出るとし、京都市の責任で直接行うべきとの声が多数を占めた。
 今回の件だけでなく、京都市はどんどん市民から離れてしまっていないか。本来は市民に最も近く、自ら出向き、寄り添い、市民の声を聴き、そして市民の生活を豊かにしていく。こういった責任が京都市にはある。そういった責任をどんどん放棄してしまっている。この京都市の姿勢に中に、各行政区にあった保健所の廃止、保健センター化もある。現在感染が拡大している新型コロナウイルスに対して今の体勢で十分に対応できるか疑問である。まずは、今ある保健福祉センターに医師・保健師・獣医師・薬剤師等専門職を増員、再配置するとともに、あらためて各行政区での保健所の再配置を考えなければならないときではないだろうか。

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