協会は1月23日、第198回定時代議員会を開き、2019年度上半期活動報告および下半期重点方針、決議案を採択した。代議員64人(うちネット参加3地区より4人)、理事17人の出席で、飯田泰啓議長が進行した。
上半期重点活動を総括
茨木和博副理事長から19年度上半期の活動を総括。国を巡っては、診療報酬改定に向けて、府理学療法士会、作業療法士会、言語聴覚士会とともに、要介護被保険者の外来維持期リハビリ打ち切り後の状況調査を実施。この結果をもとに、厚労省に要請を行う予定だと述べた。野党議連が打ち出したかかりつけ医登録制度創設に対しては、かかりつけ医登録制の危険性を訴える理事会声明を発表。この問題で代議員を対象にアンケート調査の実施を報告した。医師偏在対策では、公立・公的病院の再編・統合問題を受け、撤回を求める理事会声明を発表。また、難病医療費助成制度の改善要求運動をNPO法人京都難病連とともに取り組んだことを報告した。
自治体を巡っては、京都市の介護認定給付業務の委託・センター化構想に対し、介護認定審査委員への緊急アンケートを実施したことを報告。6割以上が民間委託方針を「知らない」と回答し、半数以上が市の方針に反対の意思を表明。これを受けて、方針の撤回を求める市長あて要望を提出したと述べた。
偏在対策での府の独自方針を評価
続いて、渡邉賢治副理事長が情勢を報告。2040年に向け登場した「全世代型社会保障」は、医療・介護に年金と雇用・労働を加えて、効率化とともに税・保険料負担の担い手の拡大を図る一体的な政策の具体化を目指したものだと説明。新たな「一体改革」だと断じた。
また、「自治体戦略2040構想」で露わになった地方切り捨てが前提となった自治体改革、国づくりに呼応するように、医療においても国は医師偏在対策を謳いながら、真摯に偏在対策を講じようとする姿勢ではないと指摘。その姿勢が端的に表れているのが、厚労省が病院名を公表した公立・公的病院再編・統合の問題、日本専門医機構が示した都道府県別・診療科別シーリングだとした。
一方で、京都府が示した医師確保計画中間案では、国の偏在指標ではなく、京都独自の「京都式」指標を作成。府内の地域医療状況を踏まえたものとなることを目指すものと評価し、府が国の圧力に屈しないよう、府とともに国に意見を述べていきたいとした。
これまで、協会はすべての国民が住み慣れた地域で安心して暮らす社会を実現するために、「社会保障基本法」に基づく新しい福祉国家を目指してきた。今の国の医療費削減という路線を変更させるためには「政治を変える」しかなく、政治を変えなければ日本の生存権保障である国民皆保険制度は守れないと述べた。
診療報酬改善、負担増阻止も運動
情勢報告を受けて、鈴木卓理事長が下半期活動方針を提案。上半期に引き続き、世界一と称される日本の国民皆保険制度をつくりあげ、担い、支えてきた開業医医療をしっかりと評価すること。皆保険制度の根幹となる医療保険制度、フリーアクセス、自由開業制を守ることを活動理念としていきたいと述べた。
そのうえで、医療提供体制改革、特に公立・公的病院再編・統合問題では、地域医療の現場から訴える活動に取り組みたいとした。また、医師偏在指標を用いた医師数コントロール、「かかりつけ医」登録制度の拙速な策定などへの批判や、働き方改革に対する協会の検討と方針・要求作成に取り組みたいとした。
また、2020年診療報酬改定に向けて、今改定の狙いと方向性を分析・検討し、協会や保団連でまとめた「診療報酬改定要求」に沿った厚労省交渉や中医協委員への要請行動を行うとした。あわせて、「全世代型社会保障」で示された全年齢層をターゲットにしたさまざまな負担増、中でも後期高齢者医療費2割負担は受診抑制が広がる恐れがある。こうした動きには断固反対を貫くことなどを提案した。提案はすべて賛成多数で採択された。
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