消費税引き上げ後の問題点と会計窓口キャッシュレス化について
実施期間=2019年11月22日~11月末まで
対象者=代議員87人、回答数=40人(回答率46%)
キャッシュレス化に課題多く
消費税が10月1日に増税され、同時に軽減税率とキャッシュレス決済のポイント還元も開始された。医療機関経営への影響が心配される中、会員医療機関に現状をアンケートした。
増税前に医療機関として対策をとったか聞いたところ、「いいえ」が83%、「はい」が18%だった。具体的な対策は、消耗品や備品購入、パソコンの入れ替えや高額備品の購入等。10月1日以降の患者数の影響は「いいえ」が100%と特に影響は見受けられない様子だ。
現在キャッシュレス化に対応していないのは93%、対応しているのは8%(図1)。対応の種類は、複数回答で「クレジットカード」が67%、「電子マネー」「QRコード」がそれぞれ33%ずつであった。「いいえ」の理由を複数回答で聞いたところ、「導入環境が整っていないから」73%、「患者の要望がないから」51%、「導入費用・維持費用が掛かるから」46%、「決済手数料を負担しなければいけないから」41%、「その他」5%であった。「その他」は、「現金収入がなくなる」「苦手」という意見であった(図2)。
今後5年程度でキャッシュレス化に対応するかを聞いたところ、「対応しない」が85%、「対応する」が13%であった(図3)。対応する予定と回答した方に複数回答で具体的な対応種類を聞いたところ、クレジットカード、電子マネー、QRコードがそれぞれ40%ずつであった。さらにその理由を聞いたところ、「ニーズが高ければ」「この先、キャッシュレス化が進み、若い人を中心に現金を持たない人が増えそうだから」「QRコードでの支払いが思いの外多い」等があげられた。
一方、対応予定のない方の理由では、複数回答で「患者要望なし・メリットなし・必要性なし」が57%、「導入環境が整っていない・業務の複雑化の懸念」が19%、「様子見」が14%、「費用の負担」「セキュリティーの不安」がそれぞれ10%、その他「よくわからないから」と回答した方が1人いた(図4)。
最後に、クレジットカード決済の際に、医療機関独自のポイント還元はできないことを知っているか聞いたところ、「いいえ」が65%、「はい」が35%であった。保険調剤の一部負担金の支払いにおけるポイント付与について、調剤料や薬価は公定価格であり、ポイントのような付加価値を付与することは医療保険制度上ふさわしくないとして、「保険医療機関及び保険医療養担当規則及び保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(12年9月14日保医発0914第1号)で、原則禁止された。これにより、保険医療機関においても同様にポイント付与は禁止されている。ただし、クレジットカードや電子マネーの支払いに生じるポイントの付与は、患者の支払いの利便性向上が目的であることを鑑み、やむを得ないとしている。
※割合を整数表記としたため加算値が100になっていないカ所があります。
図1 キャッシュレス化への対応
図2 キャッシュレス化に対応していない理由(複数回答)
図3 今後5年程度でのキャッシュレス化の予定
図4 今後キャッシュレス対応予定のない理由(複数回答)