要介護維持期リハ廃止の影響 「リハビリ難民」の実態 全国調査で明らかに  PDF

 京都協会と三士会は、維持期リハ算定終了の影響調査を行った。同調査はその後、保団連が全国調査として、京都を含む31の保険医協会・医会が実施。最終的には1117件の医療機関から回答を得た。以下、結果の概要を報告する。(※詳細はグリーンペーパー1月25日号参照)

●要介護被保険者の外来維持期リハビリ算定終了の影響について
 ・実施主体=協会と三士会(全国調査は保団連)
 ・調査期間=19年8月28日~9月20日
 ・調査対象=19年8月1日時点で脳血管疾患等リハビリテーション料また運動器リハビリテーション料の施設基準を届け出ている211医療機関
 ・回収数=96医療機関 ・回収率=45・5%

 2019年4月~7月の間に算定日数上限に達した要介護被保険者は865人(全国調査では9549人)であった。そのうち、「介護保険サービスに移行」した患者が24%(同32%)いた一方、「維持期リハビリ継続の必要があったが、何らかの理由により介護保険を希望せず終了」「上記以外」との回答は計6%(同11%)であった(図1)。そこでは、「施設入所者で通所リハビリの併用が制度上できない」「区分支給限度基準額に達していた」「要介護認定を取り下げた・更新しなかった」「来院が途絶えた」「自費のリハビリを希望」等の具体例が約70件寄せられ、必要なリハビリが継続できない、あるいは継続するために苦しい選択を迫られている事態が明らかとなっている。
 算定日数上限に達したのち「介護保険サービスに移行」等した患者について、その後の状況を把握している患者は62%(同47%)、その内何らかの困難が生じている患者は5%(同20%)であった。具体的には、「デイサービスに移行後ADLが低下」「消炎鎮痛等処置に切り替えたが筋力・歩行能力が低下し入院となった」「整骨院に通っているが活動性の低下顕著」「歩行能力が低下していき、数カ月後に転倒し骨折した」「通所リハビリに個別リハビリがなく徐々に機能低下。本人が失望し通所をやめた」など、終了あるいは移行後に状態の維持ができない、あるいは状態が悪化した事例が100件以上寄せられた。また、「もう二度とリハビリはできんのか?」「どうしてもダメなのかと詰め寄られる」との、患者さんからの切実な訴えも寄せられている。
 このように、維持期リハビリ廃止によって、必要なリハビリが受けられない状況となった「リハビリ難民」の実態が明らかになっている。

図1 算定日数上限に達した日以降の経過(全体)

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