協会は12月4日、保団連とともに厚労省に対して要支援・要介護者の外来維持期リハビリテーション(以下、維持期リハ)算定終了の撤回を求める要請を行い、(一社)京都府理学療法士会、(一社)京都府作業療法士会、(一社)京都府言語聴覚士会(以下、三士会)との連名による「医療・介護のリハビリテーションに関する要望書」を手渡した。京都協会からは飯田理事と事務局が参加、厚労省は保険局医療課と老健局老人保健課の担当者が対応した。要望書では、①維持期リハ算定終了の撤回②当面、移行困難例等ついては算定を認めること③維持期リハ終了後の患者の追跡調査を行うこと④通所リハビリの介護報酬を引き上げること―の4点を要望した。
維持期リハは2019年4月に算定終了となったが、協会と三士会はそれによって、要介護・要支援の患者さんが必要なリハビリテーションを継続して受けることができているのかを懸念し、算定終了の影響について調査した(その後、同調査は保団連が全国調査として実施し、京都を含む31の保険医協会・医会で実施)。
また、維持期リハの対象であった患者さんの主な移行先である通所リハビリテーションにおいても、現在の報酬体系や施設基準が、要介護・要支援の患者さんが必要なリハビリを継続して受けることができるものとなっているのかどうか調査を行った。
その結果(関連3面)からは、リハビリの継続が必要だったにもかかわらず、移行せずに終了した人、介護保険制度上の制約によって移行ができなかった人、移行先で状態の維持に困難が生じた人があることなどが明らかとなっており、その内容に基づいて厚労省に対し、要請した。
厚労省、介護移行推進の原則曲げず
要請では、飯田理事と事務局より調査結果を報告。あらためて維持期リハ算定終了の撤回を訴えた。
保険局医療課の担当者は調査結果について、「是非参考にさせていただきたい」と述べたものの、「維持期リハ算定終了の撤回」については、「中医協で議論しているが明確に終了を撤回すべきとの意見はない」「前回改定の結果検証の特別調査を実施しており検証を進めているところ」「介護側の施設の整備状況は引き続き見ていく」との回答に留まった。
「当面、移行困難例等ついては算定を認めること」については、「介護との連携について引き続き考えていく」「困難が生じないように丁寧に説明していく」「診療報酬のあり方については次期改定に向けて検討していく」との回答で、具体的な対応については言及がなかった。
老健局老人保健課の担当者は、「まだ、病院でリハビリ施設を開設していないところがある。課題があるのであれば対応し利用者が困らないよう体制の整備を進めていきたい」と述べた。結局のところ厚労省としては、維持期リハは介護保険に移行すべしとの原則からは外れない範囲で対応するとの回答であった。
現場の現状把握
あらためて訴える
それに対して保団連からは、「今回の調査からは、その原則に対応できない患者、利用者が多数存在していることが明らかであり、消炎鎮痛等処置で対応するなど医療機関についても同様だ。今後も体制整備を進めてもらうにしても、整うまでの間は柔軟に対応してもらいたい」と何らかの措置を講じることを求めた。担当者は、「まさにそれが18年度の同時改定であり、大幅に見直しを行い丁寧に対応してきた」として対応済みかのように回答し、認識は一致しなかった。
そこで重ねて、「調査で明らかとなった事例について、何らかの対応が必要とは考えないのか」と問うたが、「個別にお答えするのは難しいが、医師の医学的判断で改善が見込めるケースは医療保険で継続できることは変わらず、移行する場合も医療機関は通所リハとの同時実施も可能なので、必要なリハビリが行えるように説明していく」として、回答の主旨は変わらなかった。
最後に飯田理事より、「我々は現場の声を拾い上げて届けるので、しっかり受け止めていただきたい。制度改革でリハビリのレベルが落ちることは誰も望んでおらず、それだけは避けなければいけない。そのためにも、実態を調査し現状を把握して、適切な対応をお願いしたい。是非、リハビリは良い制度になったと言えるものにしていただきたい」と訴えて要請を終了した。