協会は右京医師会との懇談会を11月15日に開催した。地区から11人、協会から6人が出席し、右京医師会の寺村和久副会長の司会で開会。
冒頭、松井亮好会長は「医療界をとりまくさまざまな問題を考える上で、協会の出版物は重宝している。医師偏在対策をはじめ、かかりつけ医登録制によるフリーアクセス制限などの施策が打ち上げられ、国民皆保険制度崩壊の危機をひしひしと感じている」とあいさつ。協会の鈴木理事長のあいさつの後、各部会からの情報提供に続き、①医師偏在対策とかかりつけ医登録制②京都市の介護認定給付業務の委託・センター化構想―について話題提供し、意見交換した。
地域医療構想に関連して、厚生労働省が国立病院機構宇多野病院を「再編・統廃合」の対象リストにあげたことに関して、地区から「厚労省は再編統合の候補となる全国の公立・公的病院を突然発表し、京都においても4病院が名指しをされた。
宇多野病院は神経難病や小児神経疾患、リウマチ・膠原病など幅広い分野で高度の医療を提供し、右京区内のみならず広域から患者さんが集まる地域にとって欠かせない医療機関である。救急医療やがん治療の実績など、一面的な基準では存在意義を評価することはできない。地域の状況を把握せず唐突に発表し、患者を不安に陥れたことは、地区医師会としても受け入れられるものではない」との意見が述べられた。
また医師偏在是正に関して、地区から、協会は具体的にどうすべきと考えているのか、との質問があった。協会は「人口減少をはじめ地域崩壊の歯止めが利かない状況の中、再生に向けての総合的な対策が急務だ。医師偏在是正だけでは何も解決しない。医師少数区域で、行政の責任で医療機関を適所に配置し、医師を確保するしかない。医療従事者がその地域で生活し、子育てできるように地域を再生しない限り問題は根本的には解決しない」と回答した。その上で、今できることを意見交換。「遠隔診療の活用はどうか」「医師会がバックアップして巡回診療を進められないか」など意見が出された。
さらに懇談では、紹介状をはじめ医師の書類作成に時間がとられる現状に改善を求める意見が出されたほか、医療安全対策、行政指導など多岐にわたり意見交換が行われた。
最後に、松木正人副会長が、「医師偏在対策、かかりつけ医登録制で、国が出している案は、我々現場とはかけ離れたものだ。我々が患者の立場に立って物事を考えていけば、答えは自ずと出てくる」と締めくくった。
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