実施期間=2019年10月末~11月15日
対象者=代議員87人、回答数=38人(回答率44%)
74%が登録制導入に「反対」
「かかりつけ医」登録制を厚生労働省が検討していると日本経済新聞(6月25日)が報道。同紙によると国は、医療費抑制のために、患者が任意でかかりつけ医を登録し、診療料を月単位の定額として過剰な医療の提供を抑えたり、かかりつけ医以外を受診する場合は負担を上乗せして大病院や複数医療機関の受診を減らす案を検討する―としている。
根本厚労相(当時)は「事実ではない」と否定したが、歴史的にみれば、1980年代の旧厚生省「家庭医構想」に対して、日本医師会は医師の分断、人頭登録払い(患者に実際に提供した医療サービスに関わりなく、医療機関に登録された患者数に応じた定額の報酬を支払う方式)につながるとして反発し、構想は頓挫。しかし、この考えは脈々と受け継がれてきたとはいえ、経済財政諮問会議の工程表に、「かかりつけ医の普及とセットで外来受診時の定額負担の導入を検討」が記載されていることからも、政府の方針としてあがってくることが危惧される。
一方で、「かかりつけ医」の登録制を求める動きが、野党の側からも出ている。立憲民主党、国民民主党と野田元首相の会派「社会保障を立て直す国民会議」の議員で構成する「『医療の民主化』改革で、次世代に責任ある政治を実現する議員連盟」が、「予防医療の実現のための医療制度改革」を掲げ、「かかりつけ医」登録制の創設を中心課題にあげている。
協会は、日経報道を受けて、これはまさに医療費総額抑制と同時に人頭登録払いを実現し、患者数に見合った医師数(開業医数)を割り出して管理するための仕組みづくりとなるものであり、患者側からはフリーアクセスの制限になることから、断じて容認できないとの理事会声明(7月9日)を公表した。議員連盟の動きに対しても、その危険性を訴えているところだ(10月29日、理事会声明)。このことについて、考えを聞いた。
「かかりつけ医」の登録制を導入する動きについては、「反対だ」が74%で「賛成だ」の8%を大きく上回った。18%は「わからない」だった(図1)。
「反対」を選んだ理由を複数回答できいたところ、「登録制を入口にして登録人頭払い制への道を開く可能性があるから」が86%、「内科系中心の仕組みであり、患者の多様な病態・疾患にはなじまないから」が68%、「医師・医療機関間に無用な競争構造を持ち込むものだから」が54%。「その他」も18%あり、そのうち「患者のフリーアクセスを阻害する」が11%となった。他「医師の負担増になるから」「登録制にするといろいろ問題は出てくると思う」があった(図2)。
「賛成」を選んだ理由の記載はなかった。
自由意見では、「今の患者は病態に合わせてネット等で受診する医療機関を選び放題であり、都会ではかかりつけ医の意味が少ない」「かかりつけ医が一人だと問題」「かかりつけ医というもの自体が明確でないのに登録制はいかがなものか」、一方で「医療費抑制は必要なことで、そうであるからこそ与党野党双方から意見がでてくる。これは真摯に受け止めるべき」との意見もあった。
図1 「かかりつけ医」の登録制を導入する動き
図2 「反対」する理由