「かかりつけ医」登録制は慎重な議論を その危険性を国会議員に訴え  PDF

 「医療の民主化」議員連盟の提案した「かかりつけ医」登録制問題について協会は11月7日、京都ゆかりの国会議員に議員会館で要請を行った。この日は、吉中理事らが前原誠司衆院議員、川合孝典・福山哲郎参院議員と面談し、政府提案を後押ししかねない野党議連提案への協会の懸念を伝え、医療界全体での慎重な議論を促した。不在議員には資料を届けた。(関連4面)

 「『医療の民主化』改革で次世代に責任ある政治を実現する議員連盟」は、野田佳彦前首相を会長に立憲民主党や国民民主党などの議員で6月に立ち上げられ、「かかりつけ医」を患者が任意に1人登録する制度の創設や予防医療を医療保険の対象とすることなどを政策大綱に掲げている。協会はこれに対し、「かかりつけ医」登録制の危険性を訴える理事会声明を公表している。
 面談では、「かかりつけ医」登録制の提案は医師の定数制を孕み、診療報酬を包括制にすることからプロフェッショナルオートノミーを傷つけると指摘し、患者のアクセスを制限することも問題視。予防医療については、医療経済学では医療費抑制につながることは否定的にみられており、予防は個人の健康やQOLを良くするための発想からであるべきで、医療費抑制を目的にすると自己責任論につながる危惧があると指摘した。
 これに対し、同議連の顧問を務める前原議員は、持続可能な社会保障の観点から重複受診や大病院への患者集中を改善するためにも、こうした改革は必要ではないかと強調。川合議員は「自分なりに検証したい」、福山議員は議連に加入しておらず、「議連の動向を注視したい」と話した。
 また、同議連呼びかけ人の一人で医師の中島克仁衆院議員(山梨)とも保団連の行った面談に同席した。中島議員は、医師として在宅医療を担う中で、家族のケアが必要だと感じつつも診療報酬で保障されないことや、患者に元気になってもらうと経営が厳しくなるという制度のあり方に疑問を持ち、「日本版家庭医制度法案」を打ち出したとした。「かかりつけ医」の現状とのミスマッチは保団連の指摘通りであり、イギリスのGPなど同様の諸外国制度に弊害があることも承知しているとしつつ、プライマリケア機能を発揮できる医師をつくっていくこと、登録制にすることで多くの課題が解決できることを、国民に理解してもらいながら前に進めていきたいとした。
 保団連側からは吉中理事が、医師のプロフェッショナルオートノミーを掲げて、上からの強制ではなく質を高めながら地域医療を守ることを主張してほしいと要望した。

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