7月21日に行われた第25回参議院選挙は、自民・公明の与党が改選過半数をとり、衆参両院とも国会の多数を占める現状を変えることはできなかった。
協会は、90年代以降進められてきた新自由主義改革政治がもたらした雇用・労働条件の悪化、社会保障の劣化、国民生活の困難と格差の拡大を憂慮している。この現状を変えるには、こういった政治を推し進めようとする政党・政治家が国会の多数を占める現状を変えなければならない。そのためには、安倍政権の政治に反対する政党・政治勢力が、真の意味で国民の要求の受け皿になる必要がある。これは、国民の多数の意見でもある。
選挙後行われた世論調査(7月22~23日実施・読売新聞)では、与党で過半数を獲得したことを良しとする意見が49%を占めるにもかかわらず、その理由は「他の政党よりましだと思われた」が61%で、その政治姿勢や実績が評価されたからではない(その割合は13%にしかすぎない)。
一方で、野党は統一候補を立てて闘い、全国32の1人区のうち10の選挙区で勝利した。共闘とそれを支えた国民の運動の力である。とはいえ、その力はまだまだ弱く、特に、その政策的柱であるはずの「共通政策」の打ち出しは弱く、国民の目には、安倍政治に代わる選択肢とは認識されなかったと言わざるを得ない。
そんな中、改憲勢力は3分の2にあと4議席というところまで議席を確保した。安倍首相は、今回の選挙で、改憲論議を進めることに対する国民の信任を得たことにしようとしているが、国民の世論は決してそうではない。先述の世論調査でも、いわゆる改憲勢力が3分の2に届かなかったことを良くなかった(35%)とする意見に対し、良かったとする意見の方が大きく上回り、48%に上っている。
それどころか、今、国民が優先的に取り組んでほしいと思っているのは、「年金など社会保障」「景気や雇用」「子育て支援」といった社会保障を中心とする国民生活を支える政策であって(上記世論調査では72%を占めている)、改憲への取り組みではない。
この国民の切実な要求を踏まえ、野党の中の安倍政権による新自由主義改革政治に反対する政党・政治勢力に対しては、選挙公約として市民連合と交わした13項目の「共通政策」を早急に議論の俎上に乗せ、連合政権としての総合的な政策検討に入ることを求めたい。協会は、その動きを全面的に支持し、雇用・労働、社会保障各分野の運動を支える市民、団体と手をたずさえて、この新自由主義改革からの転換を求める運動を先頭で闘う決意である。
京都府保険医協会
副理事長 渡邉 賢治
2019年8月10日
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