協会は、この6月から新しい体制になり、会員各位とともにさらなる社会保障を守る運動に取り組んでいかなければならないと気持ちを新たにしている。そのような中、6月25日の日本経済新聞に「かかりつけ医の登録制」を厚生労働省が検討しているとの報道がなされた。これは、患者が任意で「かかりつけ医」を登録し、「かかりつけ医」以外を受診する場合は負担を上乗せするものである。
「かかりつけ医」の登録制は、医療費総額抑制を目指し、人頭登録払いの導入も視野に患者の複数医療機関への受診を減らすとともに「必要医師数」の適正配置を進める狙いがある。患者にとってはフリーアクセスの制限につながるものだ。断じて認めることはできない。
今、国は医師偏在対策、医師の働き方改革、地域医療構想を三位一体とし、改革を進めている。さらに今回の「かかりつけ医」登録制は開業規制や、自由開業制否定という医療提供体制改革の総仕上げをねらう決定的な提案である。こういった提案が出るということは、私たちにとって、いよいよ待ったなしの「決戦」の時期が来たと言えよう。私たちが少しでも隙を見せると、一気に国が進めようとしている改革に飲み込まれてしまう。
フリーアクセス、自由開業制、出来高払いという制度が効率的に機能してきたことで、国民皆保険制度が守られてきた。国が進める三位一体の改革に加え、「かかりつけ医」登録制はそれを崩す一歩となる。開業規制、自由開業制否定と言った内容は、患者にとってはそのことによってどんな不利益が生じるかが解り難い問題である。しかし、この「かかりつけ医」登録制は患者のフリーアクセスの制限につながるもので、解りやすい問題だ。患者とともに大きな運動につなげていかなければならないと考える。私たち保険医協会は引き続き会員、患者と一緒になって国民皆保険制度を守り社会保障の充実に向けてしっかりと進んでいく決意である。
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