小児科アンケート 回答者の7割が「更なる軽減必要」 京都市の子ども医療費改定を受けて  PDF

 9月以降の京都府の制度拡充にあわせて、京都市の子ども医療費支給制度も3歳~15歳の通院外負担が3000円から1500円に軽減される。協会はこの4年ぶりの拡充について、小児科医がどう受け止めているかのアンケートを行った。協会会員で京都市内の小児科標榜医療機関283を対象にした。回答率は26%(74人)にとどまったが、切実な意見が多くみられた。
 京都市の負担軽減について、「更なる軽減が必要」70%が、「十分だと思う」18%を上回った(図)。
 「更なる軽減が必要」と答えた方に、優先すべき軽減レベルをたずねたところ、「段階的にでも中学生まで200円負担とすべき」48%、「少なくとも就学前は2歳までと同じ200円負担にするべき」44%でほぼ並んだ。その他意見の中にも「全て無料」との記載が複数あった。
受診控えの実例も
 経済的負担が理由と考えられる未受診・受診控え等事例を経験したことがあるかとの問いには、「ある」19%、「ない」33%だが、「わからない」との回答も47%あった。具体的事例の記載では、助成年齢が受診の切れ目となっているケースや、患者からの訴えで処方を変えたなどの事例が寄せられた(表1)。
 また、子どもの医療を受ける権利について自由記載で聞いたところ、27件の記載があった。中には負担の無料化に批判的なものも見られたが、「経済的負担を理由に医療が制限される世の中にすべきではない」などの制度拡充を望む意見が大半を占めた(表2)。

図 京都市の今回の負担軽減をどう思うか

表1 経済的負担が理由と考えられる未受診・受診控え等事例

3歳になったとたんに受診しなくなる
3、16歳になると受診回数が減る
喘息など再診が必要なのに来院なくそのままに
受診回数が減るよう薬の処方を多めにしてほしいといわれる
4人兄弟が皆喘息で経済的につらいとの訴えがあり、症状が安定している児は3カ月処方にしたことがある
仕事が休めず受診できない。休むと仕事を辞めさせられるとのこと

表2 子どもの医療を受ける権利についての意見から

居住地による医療費格差は若い親たちにとって負担感が強い
不必要に受診を繰り返す子どもを見たことはなく、「コンビニ受診」の意味がわからない
医療は生きていくために必要なものであり、経済的な格差で内容に差が生じることはなるべく避けてほしい
格差のない医療へ。観光にばかり金を使わないでほしい
少子化のおり小児の医療は重要。子どもの医療を胎児期にまで広げてほしい
必要な医療を受けることが子どもの成長発達を支えるために不可欠。今後の国を支えることにもつながるとの認識をもつ必要
子どものおかれている社会状況をよく知るよう努めて、医療を受ける権利を護っていくのも、小児科医の務めである
インフルエンザのワクチン接種に補助があればと思います
京都府には完全看護の小児科病棟や児童福祉・公衆衛生部門等の行政機関と連携する機能を備えた小児専門病院が存在しない。そのため重症心身障害児者の患者など支障を来している。このような体系的に予算を投じるべき政策をしっかりと行っていただきたい
小児科の中でも発達障害のお子さんの診療は毎回の時間だけでなく期間も長くかかるが、クリニックが受ける医療費が少なく、きちんと診てあげることのできるクリニックが拡がりません。時間をかけた分の医療費をクリニックに支払ってほしいです。しかも患者負担のないかたちで

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