協会は、「医院の求人と採用のコツ―ハローワークの求人募集でどうしたら採用できるのか?」をテーマに経営対策セミナーを2月28日に開催した。講師はハローワーク西陣・雇用開発部長の藪下茂氏。最近の労働市場やハローワークの現状を紹介し、経営者である院長が求人・採用で重視するべき点を解説した。参加者は12人。
藪下氏ははじめに、昨今の人手不足の中で、求める人材をいかに採用し、従業員が能力を発揮し、定着するかのヒントになるようなセミナーにしたいとあいさつした。
開業医は勤務医時代とは異なり、「医療提供」と「経営」の両面が求められるとした上で、経営者の役割は営利・非営利を問わず、経営理念を定め、経営資源である「人」「物」「金」を的確に配分することだと説明。「物」「金」は普遍だが、「人」はそれぞれ感情が異なり、多くの経営者が苦労しているとした。さらに、経営理念は経営者一人では実現できないので、従業員の力を借りなければならず、どんな力を借りたいかがまさに自院の求める人材像だと解説した。
中小企業で働くことの魅力は、経営者との距離が近い、自分の意向が反映されやすい、仕事の幅が広がることだと紹介。医院においても魅力は院長自身であり、経営理念だと強調し、求人票で他院との違いを明確にする重要性を訴えた。
続いて、求職者が求人票のどこを重視して見ているかというアイトラッキング調査を紹介。賃金よりも職種・仕事の内容、就業時間、場所、休日の順番で見るという結果を示した上で、事業内容と会社の特長欄を充実させ、さらに自院のホームページへ誘導すると良いとアドバイスした。
面接では院長自身の思いを語るべきとし、①経営理念を伝え、理解・共感・共有してもらえるか②経営理念を達成するための意思・意欲があるか③専門知識やスキル、経験はどうか―の順で確認すると良いと説明した。面接評価では、項目毎の合格基準(例えば経営理念の共感や貢献意欲はA評価であること等)を設定することで、求める人材の採用に繋がるとした。
最後に、近年、労働者の権利意識が高まり、労働条件の相談が増加していることを紹介。労働条件を書面で交付することは経営者自身を守る役割もあるとし、採用してすぐに辞める等のトラブルに繋がらないように、採用後は入職前に交付するようアドバイスした。
「面接では求職者に院長の思い伝えて」と述べる藪下氏