地域医療に関わらない医師増に危惧
協会は下京西部医師会との懇談会を1月31日に開催。地区からは7人、協会から5人が出席した。大石豊理事の司会で懇談が進められ、安田雄司会長から「消費税や妊婦加算などさまざまな問題があるなか、京都市域地域医療構想調整会議のブロック会議など山のように降りかかってくる課題を議論したい」と開会あいさつ。協会の各部会からの情報提供後、話題提供し、地区から事前に提出された課題「京都市域地域医療構想調整会議のブロック会議」「医事紛争の最近の傾向」「消費増税時の医療費の補填」などについて説明し、意見交換を行った。
地区からは、在宅医療・介護連携支援センター事業や地域医療構想などが進められ複数の地区医師会協働で行うことが多くなることについて、協会の見解をきく質問が事前にあった。これに対し、協会からはいずれの動きにも共通して言えることは、国が地区医師会を医療資源の一つとして捉え、国の政策に動員していく仕掛けという側面がある。それを逆手にとって、地域の医療をめぐる現状と課題を、誰よりもそれを知る地区医師会から、行政に伝える機会として使うこと、地区の独自性が損なわれないようにすることも大事であると回答した。
地区からさらに、下京区・南区の在宅医療・介護連携支援センターを立ち上げたことについて、収益事業でもなく、医師会業務に多大な負担となっており、本来は行政がやるべきことだという認識を京都市が持って役割を果たしてもらわないと、担当者が疲労困憊してしまうとの危惧が示された。センターで在宅支援を行うにあたって、地区未入会の在宅医がどの程度の医療を行っているのかわからないという悩みや、開業規制によるフリーランス医師の増加、コンサルタント会社が関与した開業の増加で、地域医療に関わらない医師が増えれば、地域医療は崩壊し地域包括ケアシステムも機能しなくなるとの危機感が話された。さらに、地域ごとの違いを考慮せずに、医師偏在指標を一律に適用するとますます現実との乖離が広がり混乱するなどの問題点も指摘され意見交換した。
診療報酬関連では睡眠薬等長期処方の制限に関する情報交換のほか、無床診療所での感染症防止対策への評価をしてほしいとの意見があり、初再診料で上乗せ要求をしたいと回答した。
協会の医療安全対策部会から報告している丸椅子からの転倒事例を参考に、診察室の椅子を変更したことで患者さんから喜ばれたという報告もあった。