要介護被保険者の外来維持期リハビリ 4月1日以降の継続を 三士会合同で厚労省に要望  PDF

 協会は(一社)京都府理学療法士会、(一社)京都府作業療法士会、(一社)京都府言語聴覚士会(以下三士会)と合同で18年10月、「要介護被保険者の外来維持期リハビリの現状について」および「訪問リハビリテーション(介護保険)の現状について」のアンケート調査を実施。医療保険、介護保険双方のリハビリテーションにおいて、4月1日以降リハビリの打ち切りが多数予想される結果を得た(本紙第3042号およびグリーンペーパー1月号参照)。これを受け、1月31日、保団連が実施した厚生労働省要請において、①要介護被保険者の維持期リハビリを4月1日以降も算定できるようにすること②別の医療機関からの情報提供に基づいて実施する訪問リハビリテーション(介護保険)について、別の医療機関の医師が研修要件を満たしていない場合でも、19年4月1日以降も算定できるようにすること―を求める要望書を厚労大臣に提出した。

 要望書は写しを衆参厚生労働委員、京都選出衆参国会議員、中医協委員に送付し、国会および中医協で議論することを求めた。

リハビリ調査結果を示し具体的な打ち切りの懸念を伝える

 厚労省より保険局医療課吉川裕貴課長補佐、老健局老人保健課河﨑敬課長補佐、同課の長江翔平老人保健施設・介護医療係長が出席。京都からは、(一社)京都府理学療法士会の麻田博之会長、協会事務局が出席。保団連は住江会長、山崎理事らが出席した。
 冒頭、麻田会長より要望書を手渡し、事務局より要望の元となった調査結果について説明。医療・介護それぞれのリハビリについて、具体的に人数や医療機関・事業所の割合を挙げて、打ち切りの懸念が強まっていることを伝えた。

現場の実態から要望への理解求める

 麻田会長からは、維持期リハビリについては、①介護保険への移行体制は整ってきているものの、どうしても移行できない患者さんはあり、そういった患者さんを含めてすべて終了してしまうのは乱暴ではないか②すでに維持期リハビリの報酬は非常に低く設定されており、人件費も出ない状況にある。それでも現場は患者さんの生活を保障するために努力しているのであり、それまでなくしてしまうメリットはどこにあるのか③どうしても移行できない患者さんについては、疾患や環境を勘案した条件等を考慮できないか、今一度考え直してもらいたいとの3点を。訪問リハビリについては、①研修は重要ではあるが、周知期間が短かったのではないか②大病院を中心に研修を受けること自体が困難であること③すぐにリハ医が診察をできる事業所ばかりとは限らないこと④事業所からは主治医が研修を受けているかどうか確認することが難しいことの4点を挙げ、要望の主旨に理解を求めた。

厚労省、介護リハの意義説明

 厚労省は「各県の状況を示してもらえることは貴重で大変ありがたい。こうした資料や意見交換を踏まえてどういった判断ができるか、今後の検討に活かしていきたい」と述べた。その上で、①これまでのリハビリにおける医療と介護の役割分担の経過②厚労省の調査では維持期リハビリ継続の主な理由が「13単位で不都合がない」であり、京都の調査でも「本人が希望しない」が多数だったが、医療機関からも介護保険のリハビリの説明・周知について協力いただきたいこと③一方で他の施設への移行に対する心理的抵抗もあるので、18年同時改定では、通所リハビリを疾患別リハビリと同時実施できる要件の緩和をさらに進めたことを説明。それに対する意見を求めた。
 それに対しては、状態の維持を目的としていても、どうしても医療のリハビリでの実施が必要な患者さんは一定数存在すること、厚労省の調査においても「通所リハでは言語聴覚療法を実施していない」「施設利用によって通所リハを利用できないため」といった、資源・制度的に介護保険に移行できない患者さんがいることが明らかになっていると指摘し、そういった患者さんについてせめて一律の打ち切りにはならないよう重ねて要望した。また、同時改定における要件緩和については、アンケートの調査結果より要件緩和の効果の部分を紹介し、短時間通所リハビリの開設については報酬面をはじめ医療機関が二の足を踏まざるを得ない部分があることを指摘し、更なる改善を求めた。
 中医協等での今後の具体的な検討予定について聞いたところ、厚労省は今日のような機会をはじめ関係者から意見を伺っているところ。内部でも検討をしており、どのような対応が適当か、しっかり考えていきたいと述べた。
 また、介護保険の訪問リハビリについて今後の対応について聞いたところ、厚労省は要望は各方面よりいただいている。事業所の医師が診察するほうが良いとの方向性で、そういうメッセージを込めて改定を行った。ただ、「周知期間が短い」「研修の受講を把握できない」等のご意見はあり、適切に対応しないといけないと内部で検討はしていると回答した。

訪問リハビリの経過措置は2年延長が通知される

 2月5日、18年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.8)が発出され、19年3月31日までの経過措置であった別の医療機関医師の研修要件について、21年3月31日まで2年間延長する旨が通知された(グリーンペーパー2月号参照)。
 これによって、別の医療機関が医師の研修を修了していない場合について、19年4月1日以降ただちに訪問リハビリが算定できなくなる事態は避けられることとなった。

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