医療扶助における後発医薬品使用の原則義務化について
実施日=2018年10月22日~11月15日
対象者=代議員89人、回答数=46(回答率52%)
「理解できる」がわずかに上回る
通常国会での生活保護法改正により、2018年10月1日から生活保護受給者に対する後発医薬品の使用の原則化が始まった。医師等が「医学的知見等に基づいて、後発医薬品を使用することができると認めたものについては、原則として、後発医薬品による給付を行う」とされている。
ただし、医学的知見に基づき、後発医薬品を処方・投薬することが適当でないと判断する場合は、先発品による給付が行われることになる。単に患者が先発医薬品を希望しているというだけで、医学的知見から必要であるという判断がない場合は、後発品を使用することになる。また、医療機関に該当する後発医薬品の用意がない等、やむを得ず後発医薬品による給付を行うことができない場合についても、先発医薬品による給付が可能とされている。
協会はこの法案段階において、患者の自己決定権・自己選択権の侵害と医師の専門性への介入を問題視。貧困による不幸を強いられたり、差別を被ったりしない国の在り方に向けて根本から見直すことを要望する談話を4月に発表している。
義務化の認知度は87%
10月1日から医療扶助における後発医薬品使用が原則義務化とされたことの認知度は87%であり、「知らない」も13%あった(図1)。
原則義務化をどう考えるかについては、「理解できる」48%が「理解できない」43%をわずかに上回った(図2)。
「理解できない」理由で多かったのは、「後発品の品質面からの不安」が75%、「医師の専門性の侵害」70%で、「差別的な扱いをすべきでない」は60%に止まった(図3)。
一方で、「理解できる」理由を記述してもらった結果を概ね3つに大別すると「後発品にせざるを得ない一般患者もいるなかで医療扶助はいたしかたない」という考えが32%、「すでにジェネリックにシフトしているから」「国の財政状況から致し方ない」がそれぞれ23%あった(図4)。
中には、「皆さまの税金で医療扶助しているので当たり前のこと」という意見も見られたが、「医学的知見に基づくという前提があるのであれば、後発品の使用を特段に制限する必要はない。医師が先発品の使用が適切と判断した場合にさえ認めないというのなら、人権侵害にあたると思う」「国が予算の都合だけで義務化するのは患者に説明するにも説得力がなく、患者の立場でも納得いかない」など、義務化を問題視する意見が多くあった。
その他、「自治体から患者に直接手紙で、ジェネリックにしてもらえばあなたの自己負担○○円になりお得です風の通知を出している。医師―患者関係の破壊につながるかような行政は止めてもらいたい」など、意見をいただいた。
また、後発品の安全性をめぐっては、最近でも海外で製造された原薬に発がん物質が混入していたため自主回収され、問題視されている。医薬品の安全管理については、いま一度システムを見直すことも課題となろう。
図1 医療扶助での後発品使用原則義務化の認知度
図2 医療扶助での後発品使用原則義務化をどう思うか
図3 「理解できない」理由は何か
図4 「理解できる」理由は何か