保険外併用療養費と保険外負担
保険外併用療養費については、その内容および費用について、院内掲示しておく他、注意したいことを紹介する。「特別の療養環境の提供」(いわゆる差額ベッド)や「入院期間が180日を超える入院」等保険外併用療養費を徴収するに当たっては、その前提として地方厚生局長への報告が必要とされている。また料金等を変更する場合もその都度報告が必要である。厚生局に報告している直近の内容、現状(本当の意味での直近)、そして院内掲示等で情報提供している内容それぞれに相違がないことが必要である。厚生局への報告と現状とに相違があるのであれば、躊躇なく厚生局へ変更の報告を提出しよう。
また患者への情報提供が必要で、患者の自由な選択と同意がなされたものに限るとされている。情報提供は院内掲示だけでなく、その内容を提示した上で、患者からきちんと同意書が取れていることが大事だ。
保険外負担(いわゆる実費徴収)については、療養の給付と直接関係ないサービス等として厚労省が整理している。おむつ代やテレビ代等、実費徴収可能と位置付けられたもの、一部負担金以外は患者から実費徴収できないため、不適切な実費徴収がないか確認しておきたい。ちなみに近年よく用いられる「食事時のとろみ剤」等は実費徴収が認められないものとして位置付けられている。
また金額は、曖昧な単位でなく、例えばおむつ代であれば「1枚」単位の金額で明示し、「1日」「1週間」いくらといった単位でないことが望ましい。保険外負担は厚生局への報告が不要であるが、保険外併用療養費と同様、院内掲示や患者に直接提示する等情報提供した上で、同意書を取っておく必要がある。
保険外負担に関する同意書については、入院の説明時に具体的な内容・料金を明示した同意書により包括的に確認する方法で差し支えないとされているので活用したい。院内掲示ではその一覧に加えて「衛生材料等の治療(看護)行為およびそれに密接に関連した『サービス』や『物』についての費用の徴収や、『施設管理費』等の曖昧な名目での費用の徴収は、一切認められていません(一切行っていません)」の一文も付記しておきたい。
当事者の声に耳を傾けて
当事者の立場から発言した村田惠子氏(京都頚髄損傷者連絡会会長)は、連絡会はリハビリテーションセンターと長い付き合いである。地域移行支援やピアカウンセリングを実施してきた。附属病院廃止は残念だった。病院がなくなって以降、相談が増えている。転院先、リハビリがわかる医師がいないという相談を数多く受けている。京都ではリハビリが受けられず、岡山まで行かねばならない人もいた。民間でまかないきれると市は言っていたが、そうではなかった。これからの市リハセンについて、重度障害の人たちが社会復帰することに重点を置いたリハビリの施策をお願いしたい。当事者が参画し、その提案をくみ上げる会議を京都市にはつくってほしいと訴えた。
公的なリハビリ保障は必要
市リハセンの作業療法士の立場から発言した上垣幸衛氏は、1970年頃には府内に3人しか作業療法士はおらず、それは、今はなき洛東病院、洛南病院、宇多野病院に1人ずついるのみだった。そんな中、1978年に京都市は市リハセンをつくり、4人の作業療法士が入職した。その段階でも府内の作業療法士は10人だった。
以降、リハビリを提供する民間病院も増え、自分が市リハセンに就職した頃には府内で25人になっていた。近年、リハビリの診療報酬はどんどん締め付けがなされていったが、市リハセンがどうすれば患者さんのためになるかを模索し、府内のセラピストをリードしていた。各士会の事務局も市リハセンに置かれ、研修の拠点にもなった。2005年をピークに市リハセンの患者は減少するが、2008年10月、市リハセン附属病院が算定していた障害者施設入院基本料の要件から脳卒中患者が除かれる改定が実施され、一般病棟にならざるを得なくなった。
以降、市リハセン附属病院は何とか要件を満たして障害者病棟に復帰するが、算定日数制限等、制度に締め付けられつづけた。やがて京都市は民間の障害者病棟が増えたからと附属病院を廃止した。それまで市リハセンはかなり重度の人たちを受け入れており、民間の医療機関でリハビリを受けた後で、さらなるリハビリを必要として市リハセンに来られていた。40床しかなかったから、すべての人を受け入れられたわけではないが、大切な役割を果たしていたと話し、市リハセンが果たしていた自治体としてのリハビリ保障の重要性を訴えた。
フォーラムの内容を受け、京都のリハビリを考える会は「提言」を完成させ、市当局に提出する予定である。