2015年3月の京都市身体障害者リハビリテーション附属病院廃止から3年余。京都市の廃止方針へ立ち向かうべく結成した京都のリハビリを考える会(事務局・京都府保険医協会)が10月26日、リハビリテーション保障の拡充を国・自治体に求めるフォーラムをハートピア京都で開催した。
本フォーラムは二つの問題意識で開催した。一つは、リハビリ医療がその重要性にもかかわらず一貫して国の政策において不当な制限を受けていること、もう一つは、国は制限の一方で、地域包括ケアシステムにおけるリハビリの重要性を強調しているが、京都市は市民に対し直接リハビリを保障する施設(旧市リハセン附属病院)を自ら廃止していること。
冒頭、リハビリを考える会を代表して南博之氏(京都社会保障推進協議会副議長)があいさつ。続いて、協会の渡邉賢治副理事長が基調報告し、リハビリ医療の制限は2006年診療報酬改定での疾患別リハビリと算定日数制限の導入から本格化したと解説。これは国民皆保険制度の重要理念である「必要充足原則」を否定するあからさまな制限医療であると指摘。協会をはじめ、多くの人たちがこれを批判し運動を展開した歴史があったにもかかわらず、今日なお、制限は存在し、かつ成果指標導入やリハビリの介護保険移行等、患者さんの状態にあわせたリハビリの保障からは後退の一途であると述べた。
京都市はこういった制度上の問題によって生み出されるリハビリ難民に対処すべく、住民福祉施策としてのリハビリ保障に取り組むべきだが、むしろそれを後退させてきた。そこには観光集客にのみ傾倒し、住民福祉の充実という立場を見失った市行政の問題点が見てとれると強調。本フォーラムは、こうした現状にもう一度目を向け、リハビリに関わる専門職、市民がともに意見交換するためのものであるとした。
続いて、市リハセン看護師の一条壮彦氏(京都市職員労働組合民生支部)が、京都のリハビリを考える会としては3度目となる「提言書」案を報告した。提言は、京都市地域リハビリテーション推進センターに改称して以降、高次脳機能障害者支援センターと地域リハビリテーション関連の業務を中心に担うこととなった市リハセンの存在は、引き続き重要であること。その役割を一層果たし得るためには、臨床現場が必要であることを強調。さらに、制度の欠陥によってもたらされる市民の苦難を解決するためにも、附属病院復活は急いで実現すべきと訴えた。(関連2面)