2013年3月「子宮頸がんワクチンを接種した少女に歩行障害や計算障害が生じている」という報道にはじまった一連の騒動はまだ記憶に残っていると思います。
現在のHPVワクチンは、ヒブワクチン、小児肺炎球菌ワクチンとともに国の助成のもと定期接種化されています。ところが、13年6月厚労省が「国民に適切な情報提供ができるまでの間、定期接種を積極的に勧奨すべきではない」と発表して以来、多くの研究成果が発表されたり、ワクチン接種後の解析結果が報告されているにもかかわらず、いまだにHPVワクチンと副反応の関係がはっきりせず、健康被害への不安は払しょくされていません。
16年11月には、英科学誌にHPVワクチンによりマウスの脳に異常が確認されたという論文が発表されましたが、18年5月には実験手法が不適切だったと判断され、論文が撤回されるという事態も起こっています。
では、もし誰かに「HPVワクチンの接種について悩んでいます。どう思いますか?」と質問されたら、どう答えればいいのでしょう。
まずは、現在のHPVワクチンに関する情報を収集し、自分なりの意見を持っておき、それを解りやすく説明できるようにしておくことが大切でしょう。そして、さらに大切なのはHPVワクチンは子宮頸がんの原因となるすべてのウイルスタイプに効果があるわけではないので万能ではないこと、ワクチン接種の有無にかかわらず、子宮頸がんの検診を受ける必要があることを説明することでしょう。まずは低迷している子宮頸がん検診の受診率を上げる必要があります。これをきっかけに、患者さん自身に日本国民にとってどんな医療が必要なのか、マスコミにまどわされていないか、じっくり考えてもうらきっかけになればいいですね。
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