日本の社会保障はこの数年診療報酬を抑え、高齢者を中心に相次ぐ給付抑制・負担増で機能不全に陥っている。今後も「受診時の定額負担」や「75歳以上の窓口負担2割化」など暗い話ばかりである。社会保障の充実や財政再建のためには、税と社会保険料を上げるしかない。保団連は大企業や資産家に法人税、所得税、社会保険料を応能負担してもらえば消費税に頼らなくてもよいという立場で、10%への消費税率引き上げも反対している▼一方、日医はこの4月に「平成28・29年度医療政策会議報告書」を取り纏めた。消費増税、所得税の累進強化、固定資産税や相続税の強化、過度の内部留保への課税、法人税率の引き下げの停止などすべての税目を増税するプラスα増税▼国民は、医療や年金、福祉の充実を一番望んでいるが、増税には強い反発がある。こうして税収を上げずに、給付を削り、自己負担を増やして今日に至っている▼税でも保険料でもいいからドイツやイギリス並みに国民負担率を上げれば社会保障の一定の改善と財政再建の道筋が見えてくる。保団連と日医の大きな違いは消費増税を容認するかしないかである。私も2年前までは消費税反対論者だったが、財源問題を勉強すればするほど、消費税抜きの案は無理かなと思い始めている。日医の報告書も是非一読してほしい。(彦)
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