基本診療料引き上げ求める声多数 コミュニケーション委員会開く  PDF

 協会は、2017年度第2回コミュニケーション委員会を5月12日に開催した。地区医師会から18人、協会から8人が出席し、飯田泰啓代議員会議長の司会で進行した。
 協会からは、「2018年診療報酬改定について」をテーマに報告を行った。
 各委員からは、「今回の診療報酬改定では、加算の点数ばかりが新設され、非常にわかりにくい。算定要件も厳しいものばかりであり、それで本体部分をプラス改定と評価するのはどうか」「加算での評価ではなく、基本診療料で評価するのが筋」など、すべての医療機関がプラスとなるよう、基本診療料の引き上げを求める意見が多数出された。

国が進める在宅医療は機能するか

 在宅医療に関して、「在宅医療の点数が複雑すぎてレセプト作成が難しい。これでは、在宅医療が普及していかない」「在宅・介護の分野は地区医師会内でも温度差がある。結局一部の熱心な医師に負担がかかっている」など、国が推し進める在宅医療に関して、本当に機能していくのか疑問視する声が寄せられた。
 これに対し協会は、「介護の現場では、介護職員が不足している。在宅医療に関して厚労省は、病床数を減らして、その看護師を在宅医療にまわすことを考えている。また、これまで在宅医療を担ってきた医師自身の高齢化もあり、在宅医療の需要にしっかりと対応できるのか疑問」と指摘した。

医師の裁量堅持を

 生活保護の患者に対する後発医薬品処方の原則義務化に関しては、「医師の裁量は完全に無視されているのか。また、院内処方することで、薬剤料が減点されたり、個別指導の対象となってしまうのか」との疑義が出された。これに協会は、「医師の裁量を無視して、統一させられることはおかしい。また、個別指導に関して、そのような着眼点での選定や指導を行わないよう京都府・市に対して京都府医師会を通じて意見を出させてもらっている。今後も、そういった着眼点での個別指導は行わないように要請していきたい。生活保護の患者に対する後発医薬品処方の原則義務化に関して、生活保護法改定案※1が国会で審議されている。医師が後発医薬品でも良いと判断した場合は認められるが、協会はこの法案に対して、差別かつ患者の自己決定権と医師の専門性阻害であると声明を出した」と述べた。
 ※1 同法案は6月1日に成立、8日に公布された。

協会は引き続き厚労省に要請

 その他にも、在宅医療・介護連携支援センター※2に関して、「委託費がなくなった場合どうするか問題になっている」「3年後にどうなるか不安だ」と運営を不安視する意見が出された。
 最後に茨木副理事長から「今回の改定では加算ばかりが新設され、実際に算定できる点数は少ない。やはり基本診療料の引き上げを求めて、今後も厚労省等に要請していきたい」と述べ、会を締めくくった。

※2「在宅医療・介護連携支援センター」とは?
 京都市が設置を進める在宅医療・介護連携支援センターは、14年に国会で成立した「医療介護総合確保推進法」に基づき、2018年4月にすべての市町村に実施が義務付けられた「在宅医療連携拠点」事業によるもの。財源は市町村の介護保険特別会計から支出される。実施主体は市町村であり、地区医師会は事業を委託され、委託費を受け取って事業を行う。今年度、京都市は1センターあたり1570万円の委託費を予算化した。

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