安倍晋三首相は今通常国会において「働き方改革」を最優先課題に据えることを表明。長時間労働を是正する一方で、労働時間管理の対象から外す「高度プロフェッショナル制度」の導入を目指す労働基準法の改定を目論んでいる。
医師については、特殊性に配慮して法施行5年後を目途に規制を適用することとし、「医師の働き方改革に関する検討会」において2018年度末までを目途に検討が行われている。医師の長時間勤務をどう考えるのか、自己研鑽や研究活動の扱いをどうするのか、長時間勤務の一因とされる応召義務をどうするのか、他職種へのタスク・シフティング(業務の移管)やタスク・シェアリング(業務の共同化)をどう進めていくか、などが課題とされている。
一方でこの間、全国各地で病院に対し労働基準監督署より違法残業などで是正勧告が相次いで出されている。また、若手医師と医学生からは、医師が原則として国の定める労働時間の上限規制と労使協定を遵守することを求める提言がされている。
「過労死ライン」を超えるような勤務医の過酷な労働が問題視される一方で、こうした長時間労働に支えられてきた医療現場の実態があり、この解決が急がれることは間違いない。抜本的な解決には医師の増員とそれを支える診療報酬が不可欠だが、地方の現状はいうに及ばず、このまま規制を厳格化すれば診療制限を迫られることになりかねない。日本医師会や病院団体は「地域医療に混乱を来す恐れがある」として、医師を例外とするよう求めている。
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