2月24日 ホテル日航奈良
開業規制が国の議論の俎上に 危機感募る
相楽医師会との懇談会が2月24日に開催され、53人が参加した。
懇談会は、相楽医師会・山口泰司副会長の司会により開会。同会・藤村聡会長と垣田さち子理事長によるあいさつの後、協会から各部会ならびに「診療報酬・介護報酬同時改定」「医療提供体制・保険制度改革の現状と各地区の医療課題」について情報提供を行い、意見交換した。
冒頭あいさつの中で藤村会長は、「相楽医師会エリアは人口あたりの医師数が大変少ない。京都市域では、2025年を越えればピークを過ぎ、楽になるということのようだが、この地域は違う。ニュータウン建設が進む中で移り住んできた住民の医療需要は、2025年の先にピークを迎える見通しだ。ところがその一方で地域の医師たちの状態を見ると、『在宅』は需要の半分程度しか受け入れることができないのが実情だ。そういう地域で、2025年以降、どうやって医療を提供していくのか。そのあたりの問題について、今日は協会からの情報もいただきながら意見交換したい」と述べた。
これに対し、垣田理事長からは、「今次改定の内容が次第に明らかになりつつある。今日はその話と、4月から大きく変わっていく提供体制の問題についてお話をさせていただきたい。
この間、各地区との懇談会の席で今後の『在宅』の見通しについてお尋ねしているが、『一生懸命取り組んでこられた医師自身が、年齢を重ねられリタイアし始めている。一方、在宅の点数は、患者さんの家の事情を知っている医師としては、負担が重すぎて請求できないのが実情だ。いくらそこに点数をつけても、厚労省が思うようには誘導できないだろう』との反応が返ってくる。国の考えている2025年対策は、国民の実態には合っていないと思っている。
そんな中、国からは『医師の働き方改革』が出されてきた。どれだけの議論ができるのか注視しなければならないが、我々の後輩たちに何が残せるか。この問題も正念場を迎えていると思っている。
また、医師偏在問題に絡めて、医師の開業規制がとうとう俎上に上ってきた。開業規制をかけた時の駆け込み開業をどう規制するか。医師のモチベーションを下げる危険性もあるが、といったことまで意見交換されている。
我々は、日本の医療の今日の成果は、医師たちの主体性を尊重し、そこに任せてきたことによって達成できたと思っている。それが壊されて良いのか。大変大きな問題として、先生方と問題意識を共有したいと考えている」と述べた。
その後、協会の医療安全対策部会から、ここ1カ月間で採血による神経損傷の事故が相次いでいる(8件/月)との報告があったことを受けて、地区から、「ある会議で話題になったと記憶しているが、真空管による事故がほとんどではないか。もしそうであるならば、翼状針で採血する方が、刺入角度や深度を考慮するとより安全と考えられないか。協会でその点について啓発していただければ良いと思う」と提案があった。
また、個別指導関連の情報を見てみると、個別指導実施ケースの理由として「『情報提供に基づくもの』が数多く上がっているようだ。これは職員からのものではないかと思うが、いかがか」とのお尋ねがあり、協会は、「おっしゃる通り、退職した職員からの情報提供はあると思うし、それ以外では、トラブルのあった患者さんというケースもあるようだ」と答えた。藤村会長は、これを受けて「皆さん、職員を大切にしましょう」と呼びかけ、会場を和ませていた。
会合の最後は、山口副会長が、「いよいよ自由開業にメスが入ってきたという大変ショッキングなお話を伺った。これからどうなっていくのか、不安も大きい。協会からの情報提供などを活用しつつ地区の皆で考えていきたい」と締めくくった。