妊産婦のメンタルヘルスの重要性などを解説  PDF

 3月31日、小児科診療内容向上会が京都小児科医会、京都府保険医協会、鳥居薬品株式会社の共催でメルパルク京都において開催された。出席者は90人。

小児科診療内容向上会レポート

 はじめに社会保険診療報酬支払基金京都支部審査委員の安野哲也先生が「保険点数の留意事項と最近の審査事情」について話されました。初再診、気管支喘息などの慢性疾患、ヘパリン類似物質などの注意すべき薬剤について留意すべき点等をまとめて解説されました。
 一つ目の講演は、メンタルクリニックあいりす院長の吉田敬子先生による「妊産婦のメンタルヘルスと子どもの育ち」でした。イギリスで運用されている妊産婦支援システムの紹介を交えながら、妊産婦のメンタルヘルスの重要性について話されました。周産期は特にメンタルヘルスに問題が生じやすい時期であり、私たち小児科医もその特性を十分に理解して母親に対応する必要があることを教えていただきました。また、妊産婦のストレスが、胎児の発育などの短期予後のみならず、成長してから認められる多動、不注意などの長期予後にも影響していること、うつ病が妊婦の合併症の中で最多であること、また、小児科医が赤ちゃんを連れて来院する母親の中に、産後うつ病を見つける可能性があることなども教えていただきました。
 二つ目の講演は、成城ささもと小児科・アレルギー科院長の笹本明義先生による「開業医だからこそできる舌下免疫療法」でした。ご自身の豊富な臨床経験をもとに舌下免疫療法について、eラーニングだけでは知ることがむずかしい、けれども実際にはとても役立つさまざまな知識、テクニックを教えていただきました。全身性副反応が出た場合も、徹底した薬剤の減量でなんとか治療を行おうとする姿勢が印象的でした。先生は大変エネルギッシュで、講演内容は舌下免疫療法のみにとどまらず、過去十数年間の東京都内の花粉飛散状況などの疫学、口腔アレルギー症候群と舌下免疫療法との関係、プリックテストの意義とそのやり方、など多岐にわたるものでした。講演の初めに京都府では舌下免疫療法を行っている小児科医が少ないことを示されましたが、先生の講演をきいて刺激を受けた方がたくさんいらっしゃるのではないかと思われました。
(右京・須藤 茂行)

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