在宅医療 理事 吉河 正人
在宅医療の点数改定にも「地域包括ケアシステム」構築の流れが色濃く反映されている。
これまで全くバラバラに決められていた感のある医療保険と介護保険の間で、一定の整合が図られた。
例を挙げると、特別養護老人ホームで看取った場合のターミナルケア加算、看取り加算について、施設が看取り介護加算を算定している場合でも算定できるとなったこと(看取り加算算定には制限あり)。また、短期間での急激な状態変化に、介護サービスの変更が追いつかないことが多い末期悪性腫瘍患者の場合に、担当者会議の招集なしで迅速な対応が可能となったことも現実に即したものといえよう。ただし、主治医には、ケアマネジャーに対して適時情報提供するという要件が課せられている。
従前より協会が強く求めていた、複数の医療機関による訪問診療料算定が可能となったことは大きな成果といえる。ただし、主治医から依頼を受けての訪問診療は、月1回で6カ月が限度とされている。再度依頼をすれば延長可能となるようだが、改善を求めたい。
一方、これも機会あるごとに改善を求めている在宅時医学総合管理料、施設入居時等医学総合管理料の「単一建物居住者」による不当な点数設定は変わらず、訪問薬剤管理料にも適用が拡大されたのは許しがたい。
基本点数を引き下げて、煩わしい要件をクリアしなければならない加算を設定する等、在宅医療点数はさらに細分化され、ますます複雑なものとなった。この煩雑さのため新規参入を躊躇する声が多いのは、憂慮すべき事態である。迫り来る多死社会に対して、院外看取りを増やす必要を言うのであれば、働き方改革とも矛盾しない、現場が納得できる制度への改善を推し進めるべきであろう。粘り強く要求活動を続けていきましょう。