3月末に京都大学が「本学における研究活動は、社会の安寧と人類の幸福、平和へ貢献することを目的とするものであり、それらを脅かすことに繋がる軍事研究は、これを行わない」とする基本方針を決めた▼日本学術会議は昨年、1950年「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」、67年「軍事目的のための科学研究を行わない声明」の二つを継承することを確認。各大学、研究機関に指針を定め慎重に対応するよう求めた▼この背景には2015年に防衛省が創設した「安全保障技術研究推進制度」があり、予算額が3年目にして110億円(前年比18倍)に膨張。岡山大、東海大、東京工大、東京農工大の4大学が助成を受け、最大5年間で20億円の研究費が提供される▼安倍政権の軍事優先姿勢があからさまな政策誘導だが、予算削減が続く研究現場では喉から手が出るような魅力的な資金で、17年度応募総数は104件と急増▼学術会議が行った調査では、全国135の大学、研究機関の4割超で軍事研究に対する指針が定められ、検討中も25カ所という▼軍事に転用されるかどうか具体例は難しい判断もあるだろうが、研究者の倫理的規範を明確に打ち出した今回の「声明」の先進性を評価し、中心的な役割を務められた山際寿一学長のご奮闘を讃え、総会でのご講演を楽しみにしたい。(さ)
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