京都府の医療・福祉政策について  PDF

2018年3月22日 京都府保険医協会 理事長 垣田 さち子

1.国の進める都道府県単位の医療費適正化施策に対峙することを求める

 1 今後とも、都道府県医療費適正化計画はあくまで「医療費の見通し」に留め、「医療費見込み」を目標と位置付けないこと。また、見込みにあたって必要病床数推計や医療費の地域差是正を勘案した外来医療費推計を用いた場合も、それを根拠とした医療提供体制・国保財政施策ではなく、すべての地域での必要な医療保障を目標に施策を進めること。
 2 医療費の地域差縮減や医師・医療機関偏在是正を理由に、経済・財政再生計画工程表等が求める、高齢者の医療の確保に関する法律第14条(診療報酬の特例)の活用は行わないこと。
 3 医療提供体制に関する施策を進めるにあたり、医療需要・必要病床数推計を行う場合は、「医療従事者の需給に関する検討会」の必要医師数の推計方法等を用いず、各都道府県が圏内各地域の医療事情、地域住民の生活・経済状況を細やかに把握する社会学的調査を行い、その結果を踏まえるなど、真のニーズを明らかにすること。
 4 国に対し、医師偏在解消を建前とした、「医師に対する新たな規制」(保険医定数制・自由開業制規制)を導入しないように求めること。
 5 新専門医制度が国民医療の質の向上と地域医療活性化に資するものとなるよう、一般社団法人日本専門医機構や厚生労働省に対し、必要な要望を不断に行うこと。
 6 地域医療構想における病床機能分化等をトップダウン方式で進めることにつながる、知事の要請等に従わない場合の懲罰的措置は行わないこと。
 7 2次医療圏単位における地域医療構想調整会議や地域保健医療協議会の開催にあたっては、国の求める論点・議事だけでなく、京都府としての医療保障ビジョンを示し、地域の困難な実態に即し、その解決を議論する場となるように努力すること。
 8 国のねらう、かかりつけ医以外を受診した際の「定額負担」導入に反対すること。
 9 国に対し、紹介状なしの大病院受診の際の「定額負担」廃止を求めること。

2.国民健康保険の都道府県化にあたり、国のさらなる追加公費投入と医療保障の推進を求める

 1 都道府県化した国保について、3400億円の定額の追加公費に止まらず、国庫負担率を抜本的に引き上げるように求めること。
 2 国に対し、医療保険制度・介護保険制度における窓口一部負担金や利用料負担軽減を求めるとともに、国保法第44条の一部負担金減免を積極的に活用する等、負担軽減に努めること。
 3 従来どおり、都道府県による医療費適正化路線に対する慎重姿勢を引き続き堅持すること。
 4 新たに国民健康保険の保険者となる立場から、市町村に対し、資格証明書交付の全廃を求めるとともに、人権を脅かす滞納処分を中止させること。
 5 国保都道府県化後、保険料負担が著しい市町村が発生する場合、国による国庫負担率引き上げが実現するまでは府が単費で保険料抑制の財源を補填すること。
 6 保険財政リスクを分散し、安定的な保険制度運営を図ると同時に、すべての人々が必要な医療を必要なだけ受けられるよう、全国一本の医療保障制度が確立されるよう、国に求めること。

3.介護保険制度の改善を求める

 1 要介護認定で「軽度」と判定された人に対する、保険給付外しなどの差別的取り扱いや、福祉用具貸与の原則自己負担化を中止するよう、国に求めること。
 2 市町村においてスタートした医療・介護連携拠点事業について、十分な人員・予算が確保されるよう、府としての追加的財政支援を行うこと。

4.住民の医療・介護負担の軽減を求める

 1 医療保険制度・介護保険制度における窓口一部負担金や利用料負担を軽減すること。
 2 国に対し、すべての子どもを対象とした医療費無料制度を創設するように求めるとともに、3歳以上の通院3000円負担をなくす等府制度の拡充を行うこと。
 3 高齢者・障害者・児童・ひとり親家庭等、福祉医療に関する地方単独事業を実施する市町村に対する、国保への療養費等国庫負担金減額調整について、全廃するよう、国に求めること。
 4 マイナンバーと医療IDを結び付け、機微な個人情報を危険に晒し、個々人の給付と負担を管理し、将来の社会保障個人会計制を目指す国の動きに反対すること。以 上

ページの先頭へ