山科医師会と懇談  PDF

2月8日 山科医師会館
オンライン診療の安易利用に危機感

 協会は2月8日、山科医師会との懇談会を開催。山科医師会から5人、協会から6人が出席した。懇談会は山科医師会の戎井浩二副会長の司会で進行。最初に同会の紀田貢会長から「今次診療報酬改定で本体プラス0・55%となったが、医師会のごり押しと捉えられるとしたらそれは違うと言いたい。今日の懇談会では協会からさまざまな情報を提供していただき、色々と勉強したい」とあいさつがあり、それを受けて垣田理事長があいさつ。続いて協会から各部会の情報を提供するとともに、①診療報酬・介護報酬同時改定について②医療提供体制・保険制度改革の現状と各地区の医療課題―について解説し、意見交換に移った。
 意見交換では、まず、診療報酬・介護報酬同時改定について、血行促進・皮膚保湿剤に関して、その使用が美容目的か本来の治療なのか判断が微妙であること。オンライン診療について、その導入により対面診療の原則が崩壊するのではないか、さらには安易なオンライン診療の利用が出てこないか等の危機感が示された。介護に関しては、介護職員の給与問題や人員不足の問題等、さまざまな意見が出された。
 これに対して協会は、保湿剤については、中医協の議論にある通り、重症の場合などで処方が多量になるケースも想定され、湿布のような量的な制限はかけられないのではないかとの見解を示した。オンライン診療については、懸念されるのはもっともであり、無制限あるいはそれに近いオンライン診療は大きな問題として捉えるが、日本遠隔医療学会で無制限のオンラインの歯止め等議論を進めており、ガイドラインも作成予定とのことで、今後の動向を慎重に見極めていきたいとした。また、介護に関しては、協会が実施したアンケートからも会員から多くの心配の声が上がっている。医療と介護の連携に関して点数がついたのは良かったが、今後閉鎖するデイサービスは増加するのではないかと懸念を表明した。
 次に、医療提供体制・保険制度改革の現状と各地区の医療課題について、医師提供体制の推計」によればいわゆる郡部の医師数の減り方が顕著であり、医療崩壊を心配する声も聞かれた。
 協会の見解として、郡部に医師を派遣するだけでは医師は定着せず、地域医療を守るには町づくりから着手しなければならないと主張した。また、京都の北部・南部と京都市域は人口比医師数で見るとそれほど大きな差はないが、今後は人口比だけでなく、例えば小児科の配置を考える上で、住民の人口構成(年齢)を考慮する等、住民のニーズの変化を見通していくことが必要とした。
 最後に山科医師会の戎井副会長のあいさつで閉会した。

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